なぜ日本では「産後離婚」が多いのか? フジテレビ「残念な夫。」に見る、危ない夫婦

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夫にとって子どもとは「外的要因のひとつ」?

――なるほど、スタートラインで差がつくと、負けているほうはやる気を失いますものね。それでますます差が開く、というのもあるかもしれません。ほかにも、夫と妻の感覚の違いってありますか?

母親にとって子どもは自分の身体から生まれているので、一心同体というか、とにかく「子どもありき」という考え方になると思うのです。

一方、男は自分がお腹を痛めて産んだわけではないので、子どもが生まれるというのは「新たな外的要因が増えた」という感覚なんだと思うのです。極端に言うと「ただひとり増える」というような。男は誰でもそう、というわけではないですけれど。

だから、男は子どもが生まれても変わりづらく、時間もおカネも、自分のために使い続けてしまうのでしょうね。これに対して母親は子どもと「一心同体」なので、子どもが生まれると自然に「変わらなきゃいけない」と思えるんじゃないでしょうか。無意識にそう思っているといいますか。

――たとえば1話では、結婚記念日の夜に、陽一は将来のマイホームについて知里と語り合おうとしますが、知里は出産のDVDを陽一と一緒に見ようと思っていました。この違いはなんでしょうか。

陽一も、決して悪気があるわけではないんですよね。マイホームの模型を作って、「ちゃんと将来を考えているよ、3人で幸せに暮らせるよ」というところを見せているわけです。

が、そこで話を終わっておけばよかったのに、「僕はこの部屋にひとりで……」などと余計なことを言って、それが全部間違った方向なものだから、妻を怒らせてしまう(苦笑)。

男って、どうも将来を夢見がちなところがある気がしますね。「大きくなったら、この子はどういう顔になるんだろう」とか「この先どんな人間に育つのかな」とか考えている。

それに対して女性は出産がスタートで、「今、この現実」を生きている。そういう違いもあるんじゃないかと思います。

※この記事の後編は2月7日(土)に公開します

大塚 玲子 ノンフィクションライター

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おおつか れいこ / Reiko Otsuka

主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA(学校と保護者)」。著書は当連載「おとなたちには、わからない。」を元にまとめた『ルポ 定形外家族』(SB新書)のほか、『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』(教育開発研究所)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(同)など。テレビ、ラジオ出演、講演多数。HP

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