「可燃ごみが減った」座間市の画期的な取り組み 白井エコセンターではRFID用いた実証実験開始

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このデータを利用すると、入力ミスなく電子マニフェストの作成が可能となる。また、事業系廃棄物の収集のみならず、一般家庭ごみの収集においても応用できる可能性を秘めている。例えば自治会・町内会などの単位で排出状況を管理して資源循環を進めていく形も考えられる。

清掃事業の今後

今後、社会のあらゆる分野において、デジタルを活用した既存業務の改革の流れが加速していく。それに伴い、これまでデジタルとは対極にあったとも思われる清掃事業においてもDXが推進されていくであろう。そして、業務の効率化による新たな業務運営体制へと変貌していき、人員や清掃車といった清掃リソースが削減され、効率化が進むと予測される。

しかし、ここで注意すべきは、清掃リソースの削減や利益追求自体をDXの目的とするのでなく、DXはあくまで手段として、清掃事業に新たな価値を創出していくことが目的化される必要がある。捻出した清掃リソースは、社会の進展とともに多様化する住民ニーズや顧客ニーズに対応した新たなサービスの提供やさらなるごみの減量に振り向けたり、資源循環を推進していったりするために活用していくことが期待される。

人員削減だけを目的としてDXを使ってしまうと、何かあった際に収集が滞ってしまうということも考えられる。例えば前回の記事(『清掃員は見た「コロナ禍のごみ捨て」酷すぎる光景』)のように、清掃事務所でコロナのクラスターが発生してしまうと、ぎりぎりで人を回してると、清掃崩壊につながるおそれがある。無計画に削減だけを目的にしてしまうと不測の事態には対処できなくなるかもしれない。

また、DXの推進により、清掃事業に携わる人々の社会的なステータスの向上や、自らが抱く職業意識が変化していくことが期待される。DXを通じて、「清掃従事者はごみの積み込み作業人」という固定観念を捨てさせ、資源循環に向けてデジタル情報を駆使する地域の環境の担い手として認識されるようになることも期待される。

タブレットを片手に清掃車に乗り込む座間市の清掃職員の中には、地域における環境の担い手であるという自負を抱き、ごみ排出のアドバイザーであるという意識を持って業務を推進している方々も数多くいるのだ。

ごみ自体が新たな都市資源やエネルギー資源である側面に鑑み、関係者全員で議論を深めながら清掃事業を再構築していくためにDXを利用すべきである。

藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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