「可燃ごみが減った」座間市の画期的な取り組み 白井エコセンターではRFID用いた実証実験開始

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また、タブレット上でほかの収集ルートの進捗状況も確認することができる。当日自らが割り当てられた業務が終了するとタブレットには「Route Complete」と表示されるので、その後はほかの作業の進捗をリアルタイムで確認し、未収集の地点に清掃車を進めていく。

画面右側にほかのルートの進捗度が表示される(筆者撮影)

これらは、清掃リソースは限られているため、それらを有効に活用して収集作業を終えていくのに大きく貢献している。

座間市では、このような収集システムを導入して効率化を図り、それにより手すきとなったマンパワーを資源循環の取り組みに回している。

例えば、各家庭から排出される剪定枝はこれまで可燃ごみ扱いで焼却処理をしていたが、システムの導入による効率化で捻出されたリソース(人員)を剪定枝の資源収集に別途振り分けた。

剪定枝を焼却せずに堆肥やチップなどの資源物としてリサイクルすることで、可燃ごみ排出量を減らすことができた。また、市民に向けたごみ減量や資源循環への啓発活動にもマンパワーを振り向けている。

事業系廃棄物の収集

市区町村が行う家庭ごみの収集では、ごみ収集車が集積所にまとめられたごみを一度に積み込む形が多く、ごみの積み込み効率が高い収集形態となっている。

しかし、事業から生じる廃棄物の収集となると、事業者と廃棄物処理業者が事前に一般廃棄物、産業廃棄物の処理委託契約を締結したうえで、その契約相手を1軒1軒清掃車で個別に訪ねてごみを収集していく形になる。家庭ごみ収集のようにまとめて収集することはできず、効率は自ずと低くなる。

また、産業廃棄物の処理を業者に委託する際には、排出事業者は産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付しなければならない。この帳票は、産業廃棄物処理委託契約どおりに廃棄物が処理業者に引き渡され、委託内容に従って適正に処分されたことを確認するために作成される。

このマニフェストの作成と契約どおりに排出されているかを確認するために、収集作業員にはどの店舗(事業者)からいくつごみが排出されたかを収集後に帳簿に記録する事務が伴う。近年では電子マニフェストの導入が進められてきているため、タブレット端末に記録している業者もある。

このように、事業系廃棄物の収集は、収集効率が低く、家庭ごみの収集よりも手間がかかる業務となる。よって、ごみ収集後に必要となる事務作業を効率化し、1軒でも多くのごみを収集して回って収益を確保しながら、それを必要最小限の清掃車でカバーして経費を削減していくかが利益の幅を広げる経営手法となる。

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