ごみを分別しない人に教えたい清掃車火災の損失 火事により「廃車」や作業員がケガをすることも

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タンク内から発生した火がごみに引火している様子(写真:東京清掃労働組合)
毎日、毎週、真夏や雨の日でもあたり前のように収集してくれるごみ。しかし、誰がいつどう収集していくといった現場の実際についてはほとんど知られていない。それらについて研究者として現場に立ち、調査をしているのが大東文化大学の藤井誠一郎准教授だ。藤井氏は、これまでさまざまな自治体で清掃作業を体験。現場の調査を続けている。今回は清掃車にスポットライトを当ててみる。
関連記事:『在宅勤務のごみを「家庭ごみとして出す」深刻問題』、『ごみを分別しない人に教えたい焼却停止の大損失

皆さんは何度も街を行きかう清掃車を見てきただろう。形や色が特徴的なので、ほかの車とは容易に見分けがつく。

子どもには大人気で、清掃車が通れば「あっ、ごみ収集車!」と声をあげる。中には、積み込まれたごみがタンクの中に消えていくのを興味深く見続けている子どももいる。その時には「サービスだよ」と言って機械をもう一度作動させる(現場用語では「巻く」)こともある。

今回は、ごみ収集をするうえで必要不可欠な道具である清掃車にスポットライトを当てる。知られているようでそれほど知られていない清掃車を概観し、現在直面している問題についても紹介する。本稿により読者の皆さんが、清掃車をこれまでとは違った視点から見るようになり、清掃事業にいっそう興味を抱いていただけるようになればと思う。

清掃車の積込構造

一見すると同じように見える清掃車ではあるが、用途によって使い分けられており、さまざまなタイプが存在する。東京23区を例にとると、道行く家庭ごみの収集車は、収集したごみをタンクの中に詰め込む積込構造の違いにより、大きく分けてプレス式と回転板式の2つに分類される。

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プレス式は、ごみの投入口(バケット)に入れられたごみを、バケット内の圧縮板が底板に押しつけて圧縮しながらタンク内に押し込んでいく仕組みである。

非常に強力な力でごみを圧縮して容積を小さくしながら格納していくので、1コース当たり多くのごみを収集できるメリットがある。

また、強力な圧縮装置を利用して粉砕・圧縮できるため、家庭ごみの収集のみならず大型の家具や家電などの収集にも利用されている。

■小型プレス車

東京23区の清掃車。圧縮板がごみを押し潰してタンクに格納していく(写真:東京清掃労働組合)
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