ごみを分別しない人に教えたい清掃車火災の損失 火事により「廃車」や作業員がケガをすることも

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清掃車が火災に見舞われると、大規模な修理を施すか廃車にせざるをえない。そうなれば、多額の修理費が発生するか購入資金が必要となり、私たちの貴重な税金を使わざるをえなくなる。住民ニーズは毎年のように多様化しているが、行政がそれらに対応しようにも、清掃車の修理や購入で原資が使われてしまうと難しくなる。

軽はずみでいいかげんなごみ排出をしていると、回りまわって自らにしわ寄せが及ぶ。私たちはこのことを十分に理解し、日々のごみ出しを自治体が定める基準に従って確実に行っていく必要がある。

清掃車から発信されるメッセージ

清掃車の用途はごみの運搬であり、清掃車にはどこの所属かのみを表記するケースがほとんどである。他方で、収集車を収集のみならず環境問題や清掃事業への住民の関心を喚起する用途にも利用する地方自治体もある。

神奈川県座間市では、ごみ減量、資源循環、海洋プラスチックごみ問題をコンセプトにしたラッピング清掃車を走らせている。それらは清掃職員によってデザインされており、中には小田急電鉄とのコラボによりデザインされた清掃車もある。派手なラッピングではあるが、道行くラッピング車を見た市民に対し環境問題への関心を高めさせる効果を期待している。

座間駅前広場「ざまにわ」に展示された座間市の清掃車。背後の建物に溶け込んでいる(写真:座間市資源対策課)

座間市では、新しいラッピング清掃車を導入した際には、HPで住民に周知するとともに、駅前のスペースに展示して住民に紹介する取り組みも行っている。そこには、清掃事業へのイメージを変えさせたり、清掃への偏見を払拭させたりする効果も期待している。

座間市に限らずどこの地方自治体でも、収集業務の終了後には翌日の作業に備えて清掃車を入念に洗車している。清掃車の外装のみならず、タンクの中までもしっかりと洗い、臭いが籠もらぬような対策を施している。そこには、「ごみという、汚く、臭い誰もが嫌がるものを運搬するので、車まで汚れて臭ってくれば住民に不快な思いをさせかねない」という清掃従事者の思いが込められている。

清掃車を入念に洗車する様子。座間市にて(筆者撮影)

何気なく見る清掃車ではあるが、そこには地方自治体や清掃従事者の思いや住民に向けたメッセージが込められている。清掃車を見た際には、清掃従事者からの何らかのメッセージを感じ取ってほしい。

藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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