2つ目は、収集作業員が安心して作業できるようにする工夫である。収集車の排気口は、収集作業員がごみの積込時に排気ガスを吸わぬよう、清掃車の車道側(右側)に取り付けられている。また、小型プレス車のドアはスライド式になっている。ドアが開かずスライドするので、狭い場所での乗降を容易にし、ドアを通行人や器物に接触させぬような配慮が施されている。
筆者も何度となく乗り降りしたが、ごみ集積所近くのドアの開閉スペースがそれほどない場所でも乗降が可能となり、収集作業の労力が軽減されたと感じられた。
3つ目は、収集車が通行する地域を衛生的に保つ工夫である。本来ならごみの排出時には水気を切って排出すべきであるが、それを守らぬ排出者も一定程度存在する。そのようなごみを積み込んでいくと、バケットやタンクから汚水が滲み出し、付近に垂れ流れてしまう。するとそこからは悪臭が漂うようになる。
そのため、清掃車のバケットの下に汚水タンクを設置して汚水を受け止めている。これらのタンクに溜まった汚水は、収集業務終了後の洗車の際に排出されている。
そのほかにもさまざまな工夫が施されている。作業員の安全作業や住民への配慮のために、架装メーカーに収集現場の情報を提供し、現場ニーズに見合った工夫が清掃車に施され続けている。
全国各地で発生する清掃車火災
清掃車の価格は、その大きさにもよるが約800万円から1200万円にも及ぶ。高級車が購入できる価格であり、こまめなメンテナンスを施しながら10年程度供用する。
しかし、住民の軽はずみな排出により清掃車火災が発生し、一瞬のうちに廃車となる事態が全国各地で起こっている。私たちが排出する可燃ごみの中に、スプレー缶、カセットボンベ、ライター、マッチ、電池、モバイルバッテリーなどが混入されていれば、収集時に火災が発生しかねない。
スプレー缶の場合だと、清掃車のプレス板や回転板の作動によって押し潰され、そこから漏れたガスに引火し、タンクの中のごみに燃え移り清掃車火災に至る。
収集中に引火が確認されると、基本的にその場に停車し、清掃車に搭載している消火器で消火する。程度がひどければ消防車を呼び消火活動を行う。その消火活動では収集車のタンクを直接切り開いて行う場合もある。当然ながらこれらの作業には危険が伴う。中には作業中にカセットボンベが爆発し、やけどを負って入院するケースも生じている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら