ごみを分別しない人に教えたい清掃車火災の損失 火事により「廃車」や作業員がケガをすることも

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一方、回転板式は、バケット内の回転板がごみを掻き上げ、それを押込板でタンクに詰めていく仕組みである。プレス式に比べて圧縮力は弱く積込量は少なくなるが、ごみを圧縮せず回転板が掻き上げるため、収集時のごみの飛散を減少できる。

ただし、回転板式で一度に多くのごみをバケットに入れると、ごみが回転板に嚙み込んで作動が止まってしまう。その時は回転板や押込板を手動で逆転させたり正転させたりして、ごみを押し込む職人技が必要となる。筆者も試してみたが、素人が一朝一夕には習得できない技であった。

■回転板式

回転板と押込板の逆転と正転によりごみを押し込む様子。座間市にて(筆者撮影)

プレス式と回転板式のいずれでも、タンクが詰まってくると押し込む際にはごみが周辺に飛び散る。水気の多いごみや、使用済みのおむつを押し込む場合は要注意である。筆者は排泄物を被った経験はないが、収集作業員の中には被る者もいる。ごみの収集作業中に横をせわしなく通行していく人がいるが、急いでいない限り作業終了まで少し待つのをお勧めする。

清掃車に見られる工夫

清掃車にはこれまでの現場作業で蓄積された知恵がふんだんに詰め込まれ、さまざまな工夫が施されている。東京23区を例にそのいくつかを紹介してみたい。

1つ目は、収集作業員の安全対策として、積込時の機械の作動をコントロールする工夫である。機械の作動中に身体が巻き込まれてしまうと命の保証はない。収集作業中にたまたま腕や指が巻き込まれ、切断されてしまう事故も起こっている。

そのため、プレス板や回転板の作動ボタンは、長押ししなければ動作しないように設定されている。不意に作動して巻き込まれぬよう、作業員同士が機械の始動を確認し合い、ボタンを長押ししてはじめて作動する安全対策がとられている。

また、停止ボタンについてもごみの投入口の両側に設置されている。相方の作業員に万が一の事態が生じた際にすぐに停止できるようにするためである。さらには、ごみの投入口の下には緊急停止バーが設置されている。ごみで手が塞がっている場合は、足で蹴り上げて作動を停止できるようになっている。

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