30日で心が強くなる「齋藤式」言葉のレッスン 「支える言葉」を持たないと心は簡単に折れる

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それなら、「いじわるされるたびに、しんせつにしてやったらどうだろう」の精神で、「素敵なお洋服ですね」と褒めてみたり、缶コーヒーやお菓子を持っていったりしてみる。その人が得意なことを教えてもらう、アドバイスをもらうなんていうのもいいですね。

誰しも、親切にしてくれる人、自分を頼って相談に来る人のことを悪くは思えないものです。だから、感じの悪い人がいたら、人付き合いのコツを学ぶチャンスだと思って積極的に関わってみてほしいと思います。

「いじわるされるたびに、しんせつにしてやったらどうだろう」は、意地悪にも愛をもって応じるという発想に気づかせてくれます。

●苦しくて希望を失いかけているとき

「闇があるから光がある」
小林多喜二
恋人・田口タキ宛ての手紙より

「闇があるから光がある」は、シンプルに言い切る強さと、励ましの心が感じられる言葉です。つらく困難な状況にあるときも、「この暗闇のおかげで、光をまばゆく感じることができるのだ」と考えてみる。それを励みに、希望を失わずに頑張るのです。

最初から光の下にいれば、それが当たり前になってしまい「なんて明るいのだろう」という感動もないでしょう。私の知人の経営者は、あるトラブルで事業が困難な状況に陥り、いつ出られるかわからないトンネルの中にいるようだったと語っていました。しかし、長いトンネルでも歩き続ければ、いつか絶対に光が差して出口が見えると信じて頑張ったそうです。実際、その会社は大発展を遂げました。

人生の道に迷い、暗闇の中にいるようだと感じたときは「闇があるから光がある」と唱えてみてください。人生、辛抱の時期というのもあります。しかし、希望を失わなければ必ず光輝くときがきます。

フラフラしがちな心を「言葉」が支える

「心を強くする」とは、一見とらえどころがなく、雲をつかむような話のように感じます。心自体のとらえどころがないからです。

心が強い人はみな、「支える言葉」をもっている
『心が強い人はみな、「支える言葉」をもっている』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

今日は調子がよくても、明日はどうなるかわかりません。ちょっとしたことで落ち込む日もある不安定なものです。

しかし、30日の言葉のレッスンを修了したあなたは、「心は強くすることができる」という実感を持てるはずです。不安定でフラフラしがちな心を、言葉が、精神文化がしっかりと支えてくれるのです。

心を支える言葉はことあるごとに判断を助けてくれるに違いありません。そして心を強く持つことができれば、どんな逆境でも必ず切り抜けていけることでしょう。

先行き不透明な緊張の時代に、言葉のレッスンをお届けすることができて嬉しく思います。

齋藤 孝 明治大学教授

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さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

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