意外に知らない「キリスト教」世界最大になった訳 広がっていった経緯は複雑で、かなり政治的

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この地図をご覧ください。

(出所:教養として学んでおきたい聖書)

(外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

これは現在の大宗教(キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教)の広がりを大雑把に描いたものです。

Aがキリスト教、Bがイスラム教、Cがヒンドゥー教、Dが仏教です。もちろんキリスト教に塗られている地域にも仏教徒がいたりしますし、仏教圏とされている所にもイスラム教徒がいたりします。

アフリカ南部はキリスト教に塗られていますが、もともとの土着の宗教も祖先祭祀なども広く行なわれています。しかしキリスト教の宣教師がどんどん入り込んでいるので、キリスト教の影響力が強くなっているのです。

支配者の宗教として広まった側面もある

地図をざっと見て分かるように、キリスト教圏が世界を包囲しています。キリスト教がすばらしい教えだから自然に広がった――と信者さんはお思いでしょうが、実際の経緯はもっと複雑であり、はるかに政治的です。というのは、近代になって、西洋人が世界の植民地支配に手を染め、支配者の宗教としてキリスト教が広まっていったという側面があることは否めないからです。

西洋が優位にたった背景として軍事力の働きが大きかったわけですが、西洋の優位には偶然的な要因もあります。

例えば新大陸では、西洋人が持ち込んだ病原菌のせいで、先住民の人口が激減しました。先住民文化が根こそぎ壊れてしまったところに、新たに(植民者とともに)キリスト教が広がっていったわけです。こんなふうにして西洋文化圏は新大陸をほとんど偶発的に併呑してしまいました。

まあ、歴史というのは残酷なものです。愛の教えの勝利の物語の背後には、多くの血の歴史が隠されている。いや、もちろん、古代や中世においては、どこの民族も今からは考えられないほど残虐でしたから、クリスチャンばかりが軍事的にひどいことをやったわけではありません。どっちもどっちというところが大きいのですが、いずれにせよ、フットワークと軍事力や政治力において西洋人は世界を圧倒しました。

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