意外に知らない「キリスト教」世界最大になった訳 広がっていった経緯は複雑で、かなり政治的

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キリスト教徒は旧約聖書をキリストの到来を予見する書だと位置づけました。キリスト到来それ自体を書き記した教典が新約聖書です。

この視点からは、旧約は人類史の前半における神と人間の関係を記した書、新約は人類史の後半における神と人間の関係を記した書だということになります。

つまり神はまずイスラエル人をサンプルに選んで律法という戒律を与えてみたのだが、彼ら選民にしてからが神の道を外れがちであった(人類史の前半)。そこで神は自ら目に見える神キリストとして現われて人類の罪を清算し、律法遵守という課題の代わりに「キリストに忠節を尽くし、キリストにならう」という新たな課題を人類に与えた(人類史の後半)。

おおよそこのような流れで、旧約聖書から新約聖書までの諸々の文書が読み解かれることになりました。

というわけで、少なくとも信者の立場からすれば、聖書というのは――ユダヤ教徒にとってもキリスト教徒にとっても――宇宙を支配する絶対神と自分自身との倫理的な対話の書であるということになります。

どちらの宗教でも、天地創造の絶対神は、聖書に書かれた「歴史」的な出来事を通じて、人間に啓示を与えています(「歴史」とカギカッコをつけたのは、実際には半分神話が混じっているからです)。

聖書は全体が1つの壮大な大河ドラマ

アダムとエバの失楽園、ノアの洪水、族長アブラハム、モーセと出エジプト、ダビデ王、バビロニア捕囚、預言者の預言、キリストの十字架、キリストの使徒たちの活躍、やがて来る世界の終末の予告……こういう歴史的順序に沿って、神は自らを啓示してきたのであると。

聖書の面白みは、全体が1つの壮大な大河ドラマを構成している点にもあります。紆余曲折に満ちた長い長い物語の中で、人類はさまざまな課題に取り組んできたし、倫理的な成長もあれば、相も変わらぬ失敗もある。神様自身が時代とともに異なる相貌を見せるようになっていった……。

そういう意味では、神の成長の物語とでも言えるような側面もあると言えます。

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