ところが、ホンダの開発担当者によれば、新型のパワートレインは、数値上こそ先代とほとんど同じだが、これも先述したとおり、「静粛性や熱効率の向上などで進化している」という。静粛性については、クランク剛性のアップ、発電用モーターと接続されたジェネレーターギアの幅を最適化し噛み合い音を低減するなどで、より静かな走行を実現する。
また、エンジンは高圧縮比化するとともに(従来型13.0→新型13.5)、吸気損失やフリクションの低減により熱効率を向上。最大熱効率領域が拡大したことで、セッティングの自由度が増し、車速とエンジン回転数がより連動する特性としている。さらにバッテリーの使用可能領域を見直し、ある程度バッテリーが充電されていれば、充電のためにエンジンが始動する際の回転が上がり過ぎないような制御も行っている。これらにより、筆者が体感したように、ハイブリッドモード切り替え時などに、従来型ほどエンジン回転数が急上昇することが少なくなったのだ(もちろん、アクセルをかなりグンと踏み込めば別だが)。
ちなみに新型では、モーターだけで走るEVモードの領域も増やしているとのこと。バッテリーの充電状況が最適であれば、上手くじわっとアクセルを踏むことで40km/h近くまで走行用モーターのみで静かに走ることができるそうだ。
とくにステップワゴンのようなファミリー向けミニバンでは、家族など乗員が会話しやすいように、静粛性が高い室内環境を作ることも重要なファクターである。新型では、ほかにもボディ剛性アップでフロアなどの振動を抑制。また、リヤまわりを中心に遮音材や吸音材を追加することで、1列目から3列目まで会話が楽しめる快適な室内を実現しているという。
なお、ガソリン車についても、搭載する1.5L・4気筒ターボのスペックは先代と同様で、最高出力110kW(150ps)/5500rpm、最大トルク203N・m(20.7kgf-m)/1600~5000rpmを発揮する。だが、これについてもエキゾーストポートやタービン、コンプレッサーを改良することで、ターボチャージャーの過給応答性を向上。アクセルレスポンスなどがよりリニアになり、爽快な加速フィールを実現している。
試乗で感じた運転のしやすさ
新型ステップワゴンでは、車両感覚を把握しやすい運転席からの視界なども改良が施された。とくに車両を道路脇に寄せたり、駐車したりする際に車両の一部が定規になるような工夫を施したことが特徴だ。
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