ホンダの5ナンバーミニバンである「ステップワゴン」が、2022年1月7日フルモデルチェンジを発表し、6代目に生まれ変わるが、発売は春ということである。前型は2015年に登場したので、7年を経てのフルモデルチェンジとなる。
ステップワゴンの競合となるトヨタ「ノア/ヴォクシー」や日産「セレナ」も、2015年前後にフルモデルチェンジを行っており、まさに真っ向勝負の戦いがその3車で続けられてきたことになる。
そうした状況のなか、前型ステップワゴンはやや苦戦気味だった印象がある。一般社団法人日本自動車販売協会連合会の統計による乗用車ブランド通称名別順位で、ステップワゴンは、ヴォクシーやセレナの後塵を拝してきた。モデルチェンジ時期に多少の前後があったとしても、ほぼ同様の期間で販売されてきたにもかかわらず、なぜ、ステップワゴンは苦戦してきたのか。
5ナンバーミニバンの歴史を作ったステップワゴン
改めてミニバンの興りを振り返れば、1990年代半ばに5ナンバーミニバンとして先陣を切ったのはステップワゴンだった。その圧倒的な人気によって、トヨタも日産も、それまでのキャブオーバー型ワンボックス車をミニバンに切り替えるまで後手を踏んだ。それがいつの間にか、販売動向が逆転したのである。
あまりに人気の高い車種は、その後のモデルチェンジで迷いを生じる場合が多い。既存の販売台数を維持しようとすれば、大きな変更をしにくくなる。一方で、外観のみならず使い勝手を含め、新たな価値を創造していかなければ、やがて飽きられ、苦戦を強いられることになりかねない。そのさじ加減が人気車種にとってモデルチェンジを難しくする。
では、前型ステップワゴンに課題があったとすれば、どこだったのだろう。
前型ステップワゴンが発売されたとき、試乗して印象深かったのは、壮快な運転感覚をもたらしたことだ。端的にいえば、操縦安定性が高く運転の楽しい5ナンバーミニバンだった。家族のためのクルマと思われがちな実用性重視の5ナンバーミニバンで、これほど運転を楽しませることができるのかと驚いたほどだ。
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