ホンダ「6代目ステップワゴン」王者復権への狼煙 新旧比較と総括、苦戦するミニバン市場で再起

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新型ステップワゴンのダッシュボードまわり(撮影:尾形文繁)

室内は、小型ハッチバック車の「フィット」からホンダが力を注ぐ前方視界のよさが活かされ、視界が広い。平面的なダッシュボードの造形も、運転しやすさからくる安心をもたらすホンダ車としての統一がある。

座席はゆったりとした寸法とともに、座り心地がしなやかで、かつ体をしっかり支える構造が採り入れられ、これもフィットからホンダが展開する座席づくりが活かされている。2列目は、座席にシートベルトが装備され、座席位置を調整しても的確に体を拘束することで、快適さを損なわず安全を確保している。ベルト内蔵式の座席は欧州で当たり前の考え方であり、家族のための5ナンバーミニバンとして安心をもたらす重要な要素だ。

その2列目は、座席脇のレバー操作だけで前後左右の位置を調節することができる新機構が採用された。

わくわくゲートを廃止し、跳ね上げ式となったリアゲート(撮影:尾形文繁)

3列目を床下へ収納できる機構は継承された一方、リアゲートをヒンジドアとしても開閉できる、わくわくゲートは廃止された。やはり跳ね上げでの重さが課題だったのだろう。しかし、私の知人はわくわくゲートのためにあえて前型を直前に購入したとも語っている。

キャラクターによってわけられたカラーリング

メッキグリルを採用したスパーダのフロントセクション(撮影:尾形文繁)

外装色は、エアーには明るめの色が用意され、フィヨルドミストパールとシーグラスブルーパールが専用色だ。それら淡い色がエアーの外観をより引き立たせている。スパーダは、暗めの色が豊富で、トワイライトミストブラックパールとミッドナイトブルービームマテリアルが専用色だ。メッキグリルを持つスパーダを、落ち着いた暗めの色が際立たせる。

内装色は、エアーにはグレー系とブラック系の2色があり、スパーダはブラックの一色だがファブリックと合成皮革を組み合わせることにより上級さを覚えさせる。

広々とした2列目シート(撮影:尾形文繁)

いずれの座席も、背面には後席に座った子供が足をぶつけたりしても汚れを拭いやすい樹脂で保護されており、座席自体も撥水加工などが施され、清潔を保ちやすくなっている。

軽自動車を含め、標準車に対するカスタムといったきつい印象のグリルが好まれる傾向があるが、新型ステップワゴンは、より自然で上質な快さを求める消費者が、単に廉価だったり普遍的だったりというだけでないそれ以上の価値を実感できるエアーを設定した。これにより、新たな5ナンバーミニバンの世界を切り拓いたといえるのではないか。

もちろん好みはさまざまだ。そのなかで、エアーかスパーダかという選択肢がステップワゴンの購買意欲を幅広く高めそうであり、人気を取り返す気配を感じさせた。

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御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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