ネット広告の「歴史書」を紡いだ彼女が語る困難 十数年前の勉強会資料を「発掘」した意外な場所
ネットの歴史を語る難しさとは
1990年代後半のデジタルマーケティング業界の誕生から、2010年代後半のインフルエンサーマーケティングの浸透などネット広告産業に多くのプレーヤーが参入する現在に至るまでを振り返る本書。
その執筆のきっかけは、「新しくデジタルマーケティング業界で働く人たちに向けて、ネットの歴史を振り返る勉強会をしてほしい」という、とある企業からの依頼だったという。
「その会社は、インターネット黎明期からデジタルマーケティングに関わってきた組織だったので、最初は『広告会社のいち社員の私なんかより、社内でやったほうが絶対にいいですよ』と遠慮したんです。
でも話を聞いていくと、過去の失敗などの経験が社内でうまく引き継がれてこなかった結果、『それずっと前に解決していたよ』というトラブルがあちこちで発生していることを知って。人材の出入りが激しいデジタルマーケティング業界では、勤続年数が短い社員ばかり……というところが意外と少なくないんですよね」
こうして、2001年からデジタルマーケティング業界に身を置く、いわば「ネット業界の生き字引」の森永氏に、白羽の矢が立った。
また同じ頃、森永氏はNHKの特別番組「平成ネット史(仮)」に出演。そこで、インターネットが普及してから四半世紀が過ぎ、その歴史を振り返る動きが各所で生まれていることを強く感じたのも、執筆の動機になった。
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