さて、これらの屁理屈、この期に及んでの言い訳がちまたにあふれていることこそが、バブルがすでに崩壊していることを示している。この兆候は、ほかにもはいて捨てるほどあるが、いくつか挙げてみよう。
①上述のように言っているだけなら罪はないが、それが相場を実際に動かす売買行動になると問題だ。相場操縦に近い。
例えば、どう見ても下がりそうなときにいったん上がる。5月3~4日のFED(アメリカ中央銀行)の政策決定会合FOMC(連邦公開市場委員会)後の動きがそうだ。利上げの見通しは急激かつ確実で、記者会見のジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長も必死だ。
当然、相場は大暴落だと思いきや、4日のアメリカ株価は大幅上昇で、NYダウは前日比932ドル高となった。しかし、翌日の5日には同1063ドル安と、この2年で最大の下落幅となった。これは明らかに主要投資家たちが逃げるために、売り場を5月4日に作っただけだ。
市場関係者は「4日は利上げの見通しが弱まったが、5日は利上げ不安が再度台頭した」などと説明したが、これこそ前述の言い訳の典型例だ。現実には、パウエル議長は翌日何も発言していないし、何の新しいニュースもなかった。
崩れた「GAFAM神話」
②バブルの際に大きく上がったものほど下がっている。ナスダックの下落はすでに最高値から一時30%超下落した。しかも、最高値はつい先日といっていい、昨年の11月だ。まだ半年も経っていない。
しかも、今のところ、本格反転の気配はない。ナスダックは誰がどう見てもバブルがはじけたのであり、日本のマザーズ市場もいうまでもない。
最初はいわゆるミーム株が大暴落した。ロビンフッダー(もう忘れられた言葉だが)たちが群がった株は、中身どおりに紙くずに近くなった。そして、次には、ユニコーンや赤字のまま期待だけで上場した銘柄たち、バブルの象徴の株がすべて大暴落している。
例えば、ウーバーは今年だけで見ても高値から約半値へ暴落しているし、配車アプリのディディ・グローバル(滴滴出行)はこの3カ月で約3分の1になっている。また、EV(電気自動車)のテスラは最高値から時価総額の約3分の1を失ったが、イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)の奇行により下がっているわけではなく、普通にバブルがはじけただけで、今の下落割合からすれば、まだまだ下がるだろう。
③「利益が伴っていないものがほとんどの新興株と違って、アップルなどの『GAFAM』は多少高くても企業の中身はしっかりしているから安全。下落時は買いの絶好のチャンス」という神話も崩れている。時価総額が大きいため指数に対する影響も大きいが、投資家全体での損失額も当然大きく、素人個人投資家だけでなく、ほとんどの機関投資家・ファンドが含み損を抱え始めた。
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