なぜなら、バスキアのように価格が急上昇をしてきた(前澤氏がさせた)ものとは異なり、ウォーホルのそれは、長年、絵画としての高い評価が確立した最高のものだからだ。
なぜ最高のものを「今」売りに出したのか。売り手はウォーホルのコレクターとして有名な財団であり、売却益は寄付されるという。必要に迫られて売ったわけではない。バブル崩壊の足音を悟ったのだ。
絵画投資家のプロ中のプロも「もはや売り時」と思っているのである。このモンローの本質的な価値は下がらないが、価格が2億ドルか4億ドルかあるいは1億ドルかというのはバブル度合いによる。
実際、オークションを主催したクリスティーズの想定価格は2億ドルだった。通常は、このような二度とマーケットに出てこないようなもの、最高級のものが出てくれば、想定価格の何倍もの値段で決まるものである。
実際、これまでの主要アート中での最高落札額は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「サルバトール・ムンディ」で、2017年に4億5000万ドルだが、クリスティーズの想定価格は1億ドルだった。つまり、相場は崩れ始めた可能性がある。
バブル崩壊はまだまだ続く
もういいだろう。バブルは全面的に完全に崩壊したのである。では、これからどうなるか。まだまだバブル崩壊は続く。
株式市場の下落はまだ続くだろう。今後の底値のメドは立たない。なぜなら、第1に、バブル崩壊での暴落では価格はオーバーシュートする(行きすぎる)からだ。第2に、ファンダメンタルズ(基礎的条件)の水準がこれから下がるからだ。ではどのように?
まず、PER(株価収益率)の水準が下がる。バブル上昇期はアメリカ全体で20倍を超えていた。この「PER20倍」というのは、1株の利益が前述のように年率15%で伸び、5年で2倍になるという裏付けがあった(5年後のPERは10倍)からこそ、許されていた。
だが、成長が止まれば大幅に下がる。利益が伸びないのであれば、PER10倍は10倍のままである。だから、ファンダメンタルズからいっても、今までPER20倍の価格がついていた企業の株価は半分になりうる。
次に、誰もが知っているように、金利はまだまだ上がる。これは割引率の上昇となるから、1株利益が同じでも、株価は大きく下がる。
さらに、実は1株利益自体が伸びなくなるどころか、減少する。なぜなら、ここ数年の収益は実体経済もバブルで膨らんでいたからで、多くの企業で1株利益が減少していく。そうなると、当然ファンダメンタルズからいっても、株価はさらに下落を続けることになる。
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