この記事は、「日銀金融正常化への『8段階の行動計画』」(4月22日配信)という「実践編」に対応する「理論編(哲学編)」とも言うべきものである。それゆえ、ぜひ実践編もあわせて読んでいただきたい。
なぜ金融政策を根本的に変える必要があるのか
金融政策は、基本理念から根本的に変える必要がある。
なぜなら、21世紀にはいって、金融市場でバブルが頻発、かつ巨大になっているのは、世界中の中央銀行の金融政策が根本的に間違っているからだ。
その理由は、世界、経済、金融市場が変化したにもかかわらず、金融政策の理念が1970年代のままであるからだ。「21世紀の金融政策モデル」が必要になっているのだ。
では、どう変えるか。
金融政策の対象を物価から通貨価値に変え、その目的を景気安定化という財市場の安定化から、リスクプレミアムの安定化という資産市場の安定化に変更するのである。そして、究極的には、通貨価値の安定により経済発展に資するという哲学にするのである。
これは原点回帰である。
中央銀行とは、通貨の番人であるから、通貨の安定がすべてであり、それは通貨価値の安定、そしてそれを支える金融システムの安定となる。そして、金融システムの安定は、金融機関と金融市場の健全性によって支えられるから、この2つの健全性を目指すことになり、中央銀行は、通貨価値の安定、金融機関の健全性、金融市場の健全性を目指して行動する機関となる。
また、貨幣の3つの機能とは、決済、価値尺度、価値保蔵であり、この3つの機能は、前述の3つの中央銀行の行動目的と完全に整合するのである。
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