補正予算は「平成の臨時軍事費特別会計」だ

防衛費は、補正を含めると5兆円の大台を突破

これらは本来、防衛省の本予算で支出されるべきで性格のものばかりだ。どこが「災害復興」に役立つのか。「経済対策」にしても、防衛関連に予算を使っても乗数効果は低い。同じカネを使うのであれば、「本当の災害復興」や保育園の増設など、本当に必要で、乗数効果の高いものに使うべきだ。国の借金がこれだけ拡大しているのに効果の低いバラマキを行うのはいたずらに国の借金を増やすだけだ。

本来、補正予算として認められるのは「追加財政需要(自衛隊の活動経費)等(999億円)に含まれる、給与改定に伴い不足する自衛隊員の給与等、不足する燃料費、為替レートの変動に伴い不足する外貨関連経費など、本年度予算で想定外の支出に対応するものだ。またこの項目の中には新たな政府専用機導入に伴う経費が含まれているが、これまた本予算で要求すべきものだ。

つまり安倍政権は防衛予算を小さく見せるため、さらに2015年度予算の総額を小さく見せるため(補正予算は2014年度分)、防衛本予算で調達すべき装備などを被災対策の「美名に隠して」要求している。防衛費が4兆円台か5兆円台では世論の印象が随分違うのではないか。防衛費を4兆円台にしたのは、軍拡という批判を抑えるためだろう。

多くのメディアは、2015年度の政府予算膨張を抑えたと評価している。つまり上手く政府の情報操作に沿った報道をしている。たとえば産経新聞のこの報道などが典型といえる。これは露骨な印象操作のように感じられる。

かつて防衛省は東日本大震災の補正予算でC-2輸送機約400億円に代表されるような、通常の防衛費で調達すべき装備などを要求してきたが、今回も同じ構図だ。

モラルハザードが起きかねない

このような防衛費+補正予算=本当の防衛費という構図が定着するならばモラルハザードが起こるだろう。足りない予算は補正に回せばいいじゃないか、思うようになるからだ。それをオーソライズしているのが自衛隊の最高指揮官でもある安倍首相だ。

このやり方は旧日本軍と全く同じ体質にも感じられる。旧軍では中国戦線の予算確保のために「臨時軍事費特別会計」という「打ち出の小槌」を使用した。この「打ち出の小槌」による軍事予算の安易な拡大が、先の大東亜戦争に至るエスカレーションを招いたといえる。しかも、この特別会計は国債によって賄われ、その国債を買っていたのは日銀だった。なにか今の経済政策と似ていないだろうか。

果たしてこのようなチープなトリックで国民、ことに震災の被災者を食いものにするような組織が戦時に本当に国民を守ってくれるのだろうか。また国民の信頼を得ることができるだろうか。想定される島嶼防衛が起きた場合、先の大戦で開拓民を見捨てた関東軍とか、沖縄での悲劇がまた繰り返されるのではないだろうか。そのように納税者から疑われてもしかたないのではないか。

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