「警察裏金」実名告発の幹部が私に教えてくれた事 組織不正を前にどう動くか、原田宏二氏逝く

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原田宏二(はらだ・こうじ)/1937年生まれ。1957年に北海道警察へ。警察庁に出向して保安部防犯課係長、山梨県警と熊本県警で捜査2課長。1982年に道警に戻り、機動捜査隊長、札幌西署長、本部警務部警務課長、同防犯部長、旭川中央署長などを歴任。釧路方面本部長を最後に退職。著書に『警察内部告発者』(講談社)、『警察捜査の正体』(講談社現代新書)など。2021年12月、83歳で逝去。遺族の意向でこの4月まで逝去は公表されなかった(写真提供:星野順子さん)

日本警察には、これ以上はない“黒歴史”がある。大幹部から末端の巡査まで、組織の大半が関与した組織的裏金づくりだ。2004年にその実態を実名で明かし、大きな衝撃を与えた北海道警察元釧路方面本部長の原田宏二氏が亡くなった。今月末には札幌で「しのぶ会」も開かれる。

ノンキャリアながら「警視長(警視総監、警視監に次ぐ階級)」という階級まで上り詰めた原田氏は、いったいなぜ、実名告発に至ったのか。組織の悪弊を正すには、どうしたらいいのか。18年前の原田証言はそれを今も教えてくれる。

「実名・顔出し」で大幹部が内部告発

原田氏の内部告発については、Frontline Pressを主宰する筆者が2021年2月に2本の記事を書いた(『「警察の裏金」暴露した男が語る内部告発の苦悩』『悪事暴いても「裏切り者」内部告発の悲しい現実』)。これら2本をお読みいただくと、裏金告発と原田氏の関係、告発後の様子などを実感していただけると思う。

原田氏は裏金告発後も適正な警察活動を求めて、「明るい警察を実現する全国ネットワーク」を立ち上げたり、同趣旨の団体「市民の目・北海道フォーラム」を組織して代表に就いたりした。

犯罪捜査の問題や冤罪などが生じる都度、メディアでも積極的に発言を続けていたが、メディアの本格的なインタビューに答えたのは上記の2本が最後だったのではないかと思われる。

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