悪事暴いても「裏切り者」内部告発の悲しい現実

「ゴキブリ」「ウジ虫」罵詈雑言を浴びせられた

警察の裏金づくりを告発した原田宏二氏に届いた手紙やはがき(撮影:フロントラインプレス)
オリンパスを巡る粉飾決算事件(2011年発覚)や東京電力の原発トラブル隠蔽問題(2002年発覚)などのように、企業や行政の構造的な不正が内部告発によって明るみにされるケースは少なくない。不正が組織ぐるみだったり、上層部によるものだったりすれば、内部告発の威力はさらに増す。では、告発者にはいったいどういう事態が待っているのか。かつて、警察という強大な組織を前に裏金づくりを実名告発した原田宏二氏(83)に取材し、引き続き詳しく語ってもらった。
前回:「警察の裏金」暴露した男が語る内部告発の苦悩

告発後に寄せられた数百通の罵詈雑言

北海道警察の元釧路方面本部長で、警視長まで務めた原田氏は2004年2月、記者会見を開いて道警の組織的な裏金づくりの詳細を明かした。大幹部だった人物が経験に基づいて語る詳細な手口の数々。自らも受益者であったことを隠さず、道警に向けては「今さら内部調査など必要ない。幹部は全員熟知している」と指摘したのである。

原田氏の行動は市民らの支持を受ける一方、自宅には原田氏を批難する封書やはがきが殺到した。その数は、数百通。その一部を原田氏は今も保管している。いずれも、罵詈雑言の嵐である。

以下、それぞれの内容を抜粋しよう。

「古今東西 その歴史において 裏切り者の行く末 その運命は決まって明らかだ 偽善者よ 歴史に学べ 墓穴を掘って自ら滅ぶは枚挙に暇なし 残された人生 やがて家族の心も離れ 独り悶々と悩み苦しむ事になり 厚顔無恥に生きるのみである」
「いい歳をして、かつての上司、同僚、部下や組織にどれほどの迷惑や不快を与えているか考えたことがあるか…裸の馬鹿殿様とは貴様のことだ。同封の新聞写真を見れ、このアホ面、このアホンダラ者」
「恩を仇で返した卑劣極まりないゴキブリ原田」
「ウジ虫野郎!」
「ヤクザでも一宿一飯の恩義に生きるを仁義とする。然るに、恩を仇で返したお前はヤクザにも劣る獅子身中の虫だ」
「稀代の悪徳ゴキブリ警察官!」
「汚れた自分のケツも拭かずに、他人の尻が汚いとか臭いとか言えるか馬鹿者!」
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