「ちむどんどん」黒島結菜が担う、広瀬姉妹の後釜 体育会の枠超え「「女であることの苦しさ」表現

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老獪な大名家の面々に対しても物おじせず、「シャッ!」「ほいっ!」と身軽に動き回る姿は、ちょっとした益荒男(ますらお)ぶり。後半では姫設定になったり、若君を現代に連れて来たりと忙しい展開もありながら、実に頼もしいヒロインを演じきったのだ。

そして、大河『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK・2019年)では、重要かつ、黒島がもつ2つの特性を存分に発揮する役を演じた。歴代でもかなり低視聴率だったようだが、個人的には大好きな大河で、特に第21~26話はこの作品のひとつの山場だったと思っている(描いたのは女性アスリートの夜明け)。

黒島が演じたのは、前半の主人公・金栗四三(中村勘九郎)が勤務する高等女学校の生徒・村田富江。はじめは四三を小馬鹿にしていたものの、負けず嫌いな性格を逆手にとられ、スポーツの楽しさと解放感に目覚めていく。黒島は槍投げ、テニス、そして障害走に徒競走と、特性でもある軽快な動きを見せつけた。

芯の強い役がはまる

もうひとつの特性は「モノ言う女」。女子陸上大会に出場した冨江は、靴が合わず競技直前に靴下を脱いで走った。当時、女子生徒の肌の露出はご法度。新聞に写真が載って問題になり、指導教員の四三は退職に追い込まれてしまう。

冨江は女子生徒たちを束ねて教室にたてこもり、四三の不当解雇に反対するストライキを起こす。さらには、男尊女卑の父親(板尾創路)と100メートル走対決をして、「女子は速くて強い」ことを証明。見事、四三の解雇を阻止したのだ。

女らしさの押し付けに抵抗し、行動や服装の自由を訴える富江。元来負けず嫌い、相手が誰であろうと自分の意志と考えを毅然と伝える芯の強い役が黒島にぴったりハマった。

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