「ちむどんどん」黒島結菜が担う、広瀬姉妹の後釜 体育会の枠超え「「女であることの苦しさ」表現

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現在放送中のNHKの朝ドラ『ちむどんどん』にも、なんとなく継承されるものがある。ヒロイン・比嘉暢子は現段階ではただただ元気で明るくて楽観的な女子の印象だ。ただし、「女らしさ」の壁にぶち当たってはいる。舞台は70年代の沖縄、貧しい家庭に育つ暢子だが、性的役割の押し付けに疑問を抱くシーンがあった。

陸上部の同級生男子とかけっこで勝ち続けてきた暢子が、ある日負けてしまう。就職予定の会社からも「女のくせに強情だ、女らしくおとなしくしろ」と言われて、「女が強情で何が悪いんですか?」と反論し、自ら就職を断ってしまう。

能力や才能が高く、自分の言葉で語ると「女のくせに」と言われ、できないことがあると「これだから女は」と言われる。理不尽な性差別が横行する時代に、女であることが息苦しくて悔しいと母親(仲間由紀恵)に吐露する暢子。おそらく後々に響いてくるであろう重要な場面だった。

今後は、料理人としてさらなる理不尽や性差別が待ち受けていると思われる。そこに抗う、反論できる、モノ言うヒロインとして、黒島の本領発揮に期待をしている。

元気と負けん気のその先へ

しまった。黒島はNHKの出演作が実に多いため、NHK礼賛みたいな記事になっちゃう。ここらで他局作品にも触れておこう。

『ごめんね青春!』(TBS・2014年)ではカトリック系女子高の頭脳明晰な優等生役、『時をかける少女』(日テレ・2016年)では大林宣彦作品とはやや趣の違うさわやかな青春を担い、『行列の女神~らーめん才遊記~』(テレ東・2020年)では思ったことをそのまま口に出す、空気を読まない新入社員役を演じた。元気や負けん気だけではない、賢さや真面目さを必要とする役も演じてきた。

異種といえば、Paraviの配信ドラマ『SICK'S〜内閣情報調査室特務事項専従係事件簿〜』で、最強SPECホルダーの一一十(ニノマエ・イト)を演じている。黒島は時を止めるだけでなく、一部の時間を巻き戻す「リバース」なる能力も持っている。ふと考えてみたら、『アシガール』も『時をかける少女』もタイムリープ。時間を操る『SICK‘S』も併せて、「時間軸を超えがちな女優」としてもいいだろう。

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