朝ドラ「スカーレット」が女性の心に刺さる理由

働く女の「意地と誇り」を見事に描いた話題作

NHKの連続テレビ小説「スカーレット」は、懸命に生きている働く女性たちへのエールでもあった(写真:日刊スポーツ)

ここ数年の朝ドラのヒロインはラッキーガールやセレブレディーが多くて、どうにもこうにも感情を入れ込めなかったのだが、久々に「ドのつくボンビーガール、キターッ!」と初回から心躍った。「スカーレット」である。

だって、ヒロインの父親(北村一輝)が「事業の失敗で借金を抱え、借金取りに追われて一家で夜逃げ」スタートだよ!? しかも北村は酒飲みでお人好し。怠け者でも浮気者でもないだけマシだが、これから数々の苦難をヒロインで長女の戸田恵梨香が背負わされるだろうと予測できた。予測以上に面白くて、この2カ月は「起床後まずスカーレット」が習慣になった。

私が好きな朝ドラ(大阪局制作)の典型的パターンでもあるが、惹きつけられたポイントは5つある。

家族は枷にも障壁にもなる

家族はつねに優しく温かく見守ってくれて、支えてくれるとは限らない。むしろその逆で、枷にも障壁にもなる。

戸田は絵を描くことが大好きだったが、長女として一家の生計を支えるために進学を諦める。地元・滋賀県信楽で働こうとしたものの、15歳の少女を雇ってはくれず。父が勝手に大阪の下着会社に働き口を見つけてきたため、単身大阪へ働きに出ることに。

ところが、下着会社の女社長・羽野晶紀は約束すら覚えていない。自宅兼下宿(三毛猫も住む荒木荘)の女中としての働き口しか用意できないと言う。ここで帰るわけにはいかない戸田は必死で食らいつく。

給料も驚くほど安く、元・女中の手厳しい大久保さん(三林京子)には朝から晩までこき使われる。父は図々しくも給料を前借りにやって来たりもした。それでも仕送りを待つ家族のために、3年間は歯を食いしばる戸田。その頑張りが認められ、女中として働きながら貯めた金で美術学校へ通おうとした矢先、借金まみれの父に「帰ってこい」と言われるのだ。

膨れ上がった借金の額に、戸田はもう笑うしかなかった。父親風を吹かせているが、事実上の依存だ。

夢や希望を抱いても、家族に潰されるという残酷な仕打ち。応援するどころか、経済的に依存してくる家族は現実味もあるし、ドラマとしての醍醐味がある。

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