「ちむどんどん」黒島結菜が担う、広瀬姉妹の後釜 体育会の枠超え「「女であることの苦しさ」表現

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最終的には八郎への思いが強くなってしまい、身を引いて去ることを決意した三津。そのときの気持ちの伝え方が絶妙だった。喜美子の穴窯を「時代に逆行している」と批判し(配慮の嘘)、「今すぐ出ていきます!」と断言し(潔さ)、川原夫妻から釉薬の配合ノートを餞別に渡され、苦しい心の内を呟く(女心と本音)。

「ここに来る前に何軒もよその工房を回りました。弟子入りしたくても『陶芸は男やないと務まらんで』と言われて。そんなふうに言われても、今まで一度も思ったことがなかったんですけど、初めて思いました。『男だったらよかった』」

この呟きには唸った。師匠の夫に恋心を抱いたことを告白する場面にもとれるし、懺悔する意味にもとれる。夫妻の元で弟子を続けたかった未練にもとれるし、もう二度と会わない別れの決意ともとれる。女であることを悔やむ三津……あれ?前に書いたような…これは『ちむどんどん』の暢子にも共通する要素では?

黒島結菜という女優の来し方をたどると、うっすら「女であることの苦しさや悔しさ」が見えてきた。行く末に期待したいのは「女であることの楽しさや面白さ」だ。それこそ、ちむどんどんして、彼女の活躍を見守りたい。

吉田 潮 コラムニスト・イラストレーター

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よしだ うしお / Ushio Yoshida

1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News it!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。

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