宋美玄さん「一度は使って」月経カップを勧める訳 女性特有の悩みを解決「フェムテック」とは?
――改めて考えてみると、日本の「国民皆保険制度」は素晴らしいですね。医療機関の窓口で支払う医療費は原則3割ですし、一定金額以上の支払いが免除される高額療養費制度もある。大病院だけでなくクリニックもたくさんあります。
宋 そうです。それにフェムテックは医療ではないので限界があるわけです。例えば月経血が多いのを月経用吸水ショーツでなんとかしたり、月経痛があるのを何かでごまかしたりするのでは解決にならないし、その裏には何らかの病気があるかもしれないのでよくありません。
やはり症状があるなら、婦人科で治療するのがおすすめです。月経はつらいもの、と我慢する風潮がなくなってほしいなと思っています。
毎月の月経をラクにする医療もある
――こうしてお話を伺ってきて思ったのは、月経を最もラクにするのは、やっぱり医療……つまり飲み薬のピルや黄体ホルモン製剤、子宮内に入れることで黄体ホルモンを持続的に放出する薬剤徐放性システム(ミレーナ)なのではということです。
宋 実はそうなんですよ! ピルや黄体ホルモン製剤、ミレーナなどを使うと、月経痛や月経血がほぼなくなるだけでなく、子宮内膜症や子宮がんなどのさまざまな病気を予防できます。ピルや黄体ホルモン製剤は初潮を迎えたら使えて、PMS(月経前症候群)やニキビにも効果があります。
一方のミレーナは性交渉や出産の経験がないと入れづらいですが、一度入れると5年前後も効果が持続し、ピルの副作用で血栓ができやすいとされる40歳以上でも心配なく、毎日薬を飲まなくてもいい点で優れています。
どちらにも月経用品がほぼ不要なるし、サスティナブル。フェムテックをきっかけに、医療のことももっと知ってもらえたらうれしいです。
産婦人科専門医、医学博士、FMF認定超音波医。丸の内の森レディースクリニック 院長。産婦人科医の視点から社会問題の解決、ヘルスリテラシーの向上を目的として活動している。『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』(内外出版社)、『生理だいじょうぶブック』(小学館)など著書多数。
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