CM「i'm lovin' it」に英語教師が困る興味深い訳 中学英語で学ぶ「現在進行形」の本当の意味

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「変化の過程」を強調するパターン(発展)

途中→一時的のほかに、途中→変化の過程を強調のパターンもあります。例えばresembleをあえて進行形にすることで、「グイグイと似てきているその変化の途中」というニュアンスを出せます。

He is resembling his father more and more every day.
あの子、日に日にますます父親に似てきているわね。
※be resemblingの文は文法書でよく見かけますが、特殊な使い方なので、「不自然」だというネイティブもいます。自分では使わず、「出てきたら理解できる」くらいでOKでしょう

I’m loving it.をどう解釈する?

さらなる発展:「CMでlovingって使ってるじゃん!」

loveは進行形にしませんが、かつてハンバーガーショップのCMで、I’m loving it.(CMではi’m lovin’ itという表記)が使われ、日本だけでなく世界中の英語教師を困らせています。

そもそもキャッチコピーは、あえて文法を破壊することで独特の効果を狙うので、それを文法的に解析するのは至難の業(ときに不可能)ですが、これを一時的・変化の過程の視点から検証してみましょう。

仮説①一時的:「一時的に好き」ではCMとして不適切ですね。ただし「(食べ終わったら楽しみがなくなるから)今だけは大好き!」という解釈なら可能です。

仮説②変化の過程:be lovingがloveの変化の途中、loveになる過程の真っ最中→グイグイとloveに向かっている途中と考えることが可能です。

※日本語訳は「あ、これ好きかも・マジで好きになっちゃうかも」といった感じでしょうか。

ネイティブ同士でもネット上での議論が絶えない話題なので明確な答えはありませんが、僕は②で解釈します。英文法をきちんと学ぶことで、このように自分なりの仮説が立てられるようになるのです。

まとめ:進行形にできる動詞
(1)中断・再開できる→進行形にできる
(2)中断・再開できない→進行形にできない
※ただし、普段進行形にできない動詞が進行形(be -ing)になっていたら……
①「一時的な状態」を強調「今だけは~している」
②「変化の過程」を強調「今まさにグイグイ~している」
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