CM「i'm lovin' it」に英語教師が困る興味深い訳 中学英語で学ぶ「現在進行形」の本当の意味

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have などの「例外」を検証してみよう

have は「持っている」という意味では、中断・再開できない→進行形にできないのですが、「食べる・飲む」の意味なら中断・再開できる→進行形にできるというだけです。have のように「意味に応じて進行形の可能・不可能が分かれる動詞」はほかにもたくさんありますが、出てくるたびに5秒ルールで判断すればOKです。

The wine tastes sour.
そのワインは酸化した味がする。
※taste+形容詞「[形容詞]の味がする」/wineに使うsour「酸っぱい」はマイナスイメージ(よい意味で「酸味がある」なら、The wine has an acidic taste. となる)

taste「~な味がする」は「進行形にしない動詞」として扱われます。確かにワインの味が5秒ごとに中断・再開するわけがないので、この意味では進行形にできません。しかしtaste には「味見する」という意味もあり(「テイスティング」という言葉で有名)、味見であれば中断・再開可能→進行形可能となるのです。

The sommelier is tasting the wine.
ソムリエはそのワインを味見(テイスティング)している。
※ちなみにこの原稿を書いている文書ソフトでは、is tastingの部分に「文法的間違いの可能性」を示す赤線が表示されています。「tasteは進行形不可」だとプログラムされてしまっているわけです

あえて進行形を使うパターン

「一時的」を強調するパターン(応用)

進行形にしない動詞(状態動詞)を「あえて進行形で使う」ことで、途中のニュアンスを強調できます。

例えばlive は5秒ごとに住むことを中断・再開できませんが、あえて進行形be living にすることで、「近いうちに中断する(いつかは別の場所での生活を再開する)」という雰囲気を伝えられます。

I am living in Osaka.
(一時的に)大阪住まいなんです。 ※直訳「大阪に住んでいる途中です」

このように、進行形が途中→一時的というニュアンスを持ちます。

※「働いている」という日本語につられて、I’m working at ~と言ってしまうと、「一時的に~で働いている(近いうちに辞める)」と思われるかもしれません。普通は、I work at a bank.「銀行勤めです」となります。

この発想なら、be 動詞を進行形にすることもできます。普通は、You are very kind.「あなたは(常に)優しい」ですが、進行形で、You are being very kind.「(なんか)やけに優しいじゃん」と、「一時的に優しい」ことを表現できます。

A:Do you want me to do something for you?

B:No. Why?

A:Well, you’re being very kind today ...


A:何か私にしてほしいことでもあるの?

B:別に。何で?

A:いや、今日はやけに優しいから……
※言い方次第でイヤミにも冗談にもなるので、笑顔で(冗談っぽく)言えば、会話が弾むでしょう
次ページ次は「変化の過程」を強調するパターン
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