CM「i'm lovin' it」に英語教師が困る興味深い訳 中学英語で学ぶ「現在進行形」の本当の意味
動詞は意味によって動作動詞(進行形にできる動詞)と状態動詞(進行形にできない動詞)の2種類に分けられます。中学では「進行形にできない動詞」を丸暗記できますが(数が少ないので)、高校レベルでは以下のように数が膨れ上がるので丸暗記では対処できません。
以下、軽く確認してみてください。
※丸暗記しないで済む方法はこの後解説します。
(1) 進行形にできる動詞とできない動詞
①「動作動詞(run/eat/studyなど)」は進行形にできる
②「状態動詞(like/know/resembleなど)」は進行形にできない
例 「彼を知っている」 ×)I am knowing him. ◎)I know him.
(2)状態動詞の例
①所属・構成など:live「住んでいる」/belong to ~「 ~に属している・~のものである」/resemble「似ている」/have「持っている」/own「持っている」/remain「~のままである」/consist of ~「 ~で構成されている」/contain「含んでいる」
②知覚・心理など:hear「聞こえる」/see「見える」/smell「においがする」/taste「味がする」/like「好む」/love「好む」/prefer「好む」/dislike・hate「嫌う」/want「望む」/know「知っている」/believe「信じている」/think「考えている」/doubt「疑っている」/remember「覚えている」/suppose「思う」/understand「理解する」/wish「したいと思う」
(3)例外 状態動詞でも「意味によっては」進行形にできるもの
① haveが「所有以外」の意味のとき(「食べる・飲む」など)
She is having lunch.
「彼女は昼食中です」
②知覚・心理の動詞が「意思のある動作」を表すとき
He is tasting several wines.
「彼はいくつかのワインを試飲している」 ※このtasteは「味見する」
be knowingやbe likingがありえない理由
進行形の核心は途中なので、途中という概念がある動詞は途中で止めたり再開したりできるわけです。ここから中断・再開できる動詞は、進行形にできると考えることができます。
※例えばstudyなんて中断と再開の繰り返しですよね。だから、I’m studying English.「僕は英語を勉強している(途中だ)」という進行形はOKです。
これを逆手にとれば、途中という概念に合わない動詞は進行形にできない、つまり中断・再開できない動詞は進行形にできないことになります。ここから僕が考えたのが5秒ルール、つまり「5秒ごとに中断・再開できない動詞は進行形にできない!」です。
例えばknowやlikeは中断・再開できません。5秒ごとに「記憶を消したり戻したり・好きになったり嫌いになったり」は意図的にできませんよね。だから、×)be knowing/be likingという形はありえないのです。
resemble「似ている」も同様です。5秒ごとに似なくなって、また似てくる……なんて無理なので、×)be resembling にはなりません。
belong to~も5秒ごとに中断・再開ができない→進行形にできない動詞です。[物] belong to [人]「[物]は[人]のものだ」の形は会話で重宝します。
※belong to~の例文は昔から部活ばかり(I belong to the tennis club.「私はテニス部に所属している」)ですが、実際には「~に属している」→「~のものである」がよく使われます。
B:I think it belongs to Mr. Masuda.
A:この財布、誰のものか知ってる?
B:増田さんのだと思うけど。
進行形にできない動詞の例を見て、「5秒ごとに中断・再開できないなあ」とツッコミを入れながらチェックしておくと、英語の感覚が頭に染み込んでいきますよ。
※「5秒」は単に言いやすいだけなので、「3秒」でも「1分」でも何でもOKです。
5秒ルールでうまくいかない動詞もほんのわずかにあり、注意すべき動詞はdie です。あとはrain/snow ですが、これは、It is raining.「雨が降っている(途中だ)」という進行形を見たことがあるはずなので、特に問題ないと思います。
※もし「rainに5秒ルールが通じないんですけど!」と生徒が怒ってきたら、「神様が中断・再開してるんじゃ!」と言おうと思っていますが、25 年以上、1人もきたことがありません。
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