「35歳転職限界説」がもはや過去の遺物となった訳 40~50代の転職者がこの10年で激増している背景

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また、(2)(3)について、こうも指摘する。

「例えば、高度なデジタル・スキルを持っていて、“この会社のDXに貢献したいな“と思っても、働き方が合わないからマッチングが成立しない、ということがとても多くなっています」

これは2019年に働き方関連法が施行されて、より鮮明になった個人側の変化が反映されていると思われる。自分が人生で、仕事を通して何を成し遂げたいのか。いわば「働く価値観」に、家族や親族など、時々のプライベートな状況をすり合わせて、最適な環境を求める、という動きである。

「自社ではまかなえない人材のパーツを埋める」。これが中途採用のメカニズムだが、新しい働く環境を求める個人の意思決定の要因は、以前に比べてはるかに複雑化している。このことが、転職マーケットの、あるいは転職事業者の活況の背景にある。

〝色のついていない若者を採りたい〟意識は融解

このような変化の結果、と言うべきだろうか、転職者の年齢も幅が広がってきている。

また、リクルートエージェントによる「40代以上の転職決定者数推移」では、2013年を1とすると2021年は3.48に達している。(別表)

もう少し年代別に細かく見ると、2009年から2013年平均を1とすると、2021年には40代が4.97、50代が5.86と5倍前後以上になった。20代の2.79、30代の2.13を大きく上回る。

(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

リクルートの藤原氏は、「労働年数が伸びていく中で、今までは〝転職35歳限界説〟みたいなものがあって、企業側には〝できるだけ色のついていない若者を採りたい〟という意識がありましたが、そこはだんだん融解してきています」と指摘する。

さらにリクルートエージェントで転職コンサルタントを務める橋本尚弥氏は、次のように説明する。

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