《プロに聞く!人事労務Q&A》ヘッドハンティングした営業部長を試用期間後に解雇できますか?

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
《プロに聞く!人事労務Q&A》ヘッドハンティングした営業部長を試用期間後に解雇できますか?

 

回答者:社会保険労務士朝比奈事務所 朝比奈睦明所長

質問

 人材紹介会社を通じて営業部長をヘッドハンティングしました。一応、3カ月の試用期間を設けて、その後で正社員として採用するつもりでした。もうすぐ3カ月が経過しますが、顧客への対応が粗略なことや、自社の商品への理解が遅いなどの短所が目立ちます。また、経理面にも詳しいとのことでしたが、弊社が期待していたほどのレベルではありませんでした。試用期間終了をもって解雇したいと思います。何か問題は生じますか?

回答

ご相談の内容は、特定の地位で採用した者の試用期間満了時における本採用拒否に関するものです。試用期間は、入社後、労働者を正社員として本採用するまでに、職業能力や企業適応性を見るために設けられた制度で、法的性格については、使用者の解約権が留保された労働契約と解され、その期間中の解雇や本採用の拒否は、解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるとされています。労働契約法から見みても、解雇とは、使用者からの一方的な意思表示により労働契約を終了させるものであり、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものと見なされて無効になります(労働契約法第16条)。

試用期間中は、解約権が留保されていることにより、通常の一般社員に比べて広い範囲で解雇することが認められると解釈されていますが、「能力や技術の著しい欠如」「職務怠慢による著しい信頼性の欠如」といった客観的に合理的な理由の存在だけでなく、それに対する使用者の対応、措置として「注意・指導・教育」もしくは「配置転換による改善努力」といった解雇回避努力をするなど、社会通念上相当であることが認められなければ解雇することはできません。試用期間を延長するなどの方法も検討すべきでしょう。

 

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事