中国の市場化改革「最終段階」における重要な課題 カギを握る要素市場改革とこれからの中国経済

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実際、「デジタル化」という言葉は、2021年3月に公表された第14次5カ年計画の綱要では70回以上も使われている。また、同年に工業情報化部が発表した「ビッグデータ産業の発展に関する第14次5カ年計画」では、「データの流れが技術、財、資本、人材の流れにつながり、生産、流通、消費を結びつけて資源の最適配分を促進するという、新たな生産要素としての乗数効果」をデータが持つことを指摘している。

そのうえで、データの流通に関する制度の整備が、国内と海外、企業と生活者、そして各産業の包括的な統合を加速させ、大きな変革の推進と新しい発展パターンの構築をもたらす、という認識が示された。

共同富裕は改革の足かせになるか

2021年夏に、「共同富裕」の名のもとに急進的な再分配重視の政策が打ち出されたことは記憶に新しい。8月に開催された中国共産党中央財経委員会では「共同富裕」を社会主義の本質的な要求だと位置づけ、その実現のための手段として個人や団体が自発的に寄付する「第3次分配」が提起された。

これは、土地や資本などの生産手段の再分配を第1次分配、財政支出を通じた再分配を第2次分配とし、それ以外の再分配の手段として位置づけられたものだ。この方針を受け、アリババ、およびテンセントは相次いで2025年までに1000億元(約2兆円)という多額の資金を拠出することを約束した。

すでに述べたように第14次5カ年計画など中長期の経済政策の重点は、明らかに、イノベーションやデジタル社会の推進といった、供給サイドの改革を推進する目標に置かれていた。このため「共同富裕」の名の下に行われた一連の政策は、習近平国家主席の鶴の一声で決まった、伝統的な社会主義政策への回帰ではないかと懸念された。

しかし、その後の経緯を見れば、習政権の政策的な力点が、依然として供給サイドの効率化を通じた経済成長の推進に置かれていることは間違いない。そのことを裏付けるように、2022年3月の全人代で行われた李克強首相の政府活動報告では、「共同富裕」という言葉は1回登場しただけだった。

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