「灰色のサイ」のコントロールと金融の市場化
中国が経済制度改革と対外開放に踏み切ってから40年以上、同国の金融部門は市場の要素を段階的に取り入れながら、ときに深刻な経済過熱を引き起こし、多額の不良債権を抱えたり、株価の乱高下を経験したりしながらも、総じてみれば潤沢な資金供給によって経済成長を支えてきた。ただし、その金融制度改革は道半ばである。今後、中国が世界第2位の経済規模に見合った金融パワーを確保しようとするならば、いくつかの難しい課題をクリアしなければならない。
まず、国内の金融リスクを解消し、金融の市場化を推進するための基盤を整えなければならない。
高度経済成長期終焉後の中国が成長の軸を量から質に移行するためには、金融資源の配分をより効率的に行う必要があり、市場メカニズムの活用は必須である。なかでも市場需給と資金調達者のリスクを反映した金利形成メカニズムの構築と、それと整合的な資本取引規制の緩和が重要な課題である。
ただし、中国人民銀行(中央銀行。以下、人民銀行)や金融監督当局は、1990年代のアジア通貨危機時の諸外国の経験などから、金融市場化は金融部門全体のリスク管理能力の向上と並行して進めるべきという教訓を得ており、市場化には慎重な姿勢で臨んでいる。
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