年収500万の31歳彼が「タイの田舎」で超幸せな訳 「レールの敷かれた人生」から逃げ続けた結末

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「建築系の学生って課題のために大学に泊まり込むくらい忙しくて、そもそもバイトしている学生が少ないんですが、僕も当時はバイト経験がありませんでした。学生の頃は“社会人”って皆もっとしっかりしているとも思っていましたね。

あとは僕が高校生だった頃、父が鬱で診療内科を受診していた影響もあるかもしれません。これは後で母から聞いた話ですが、父は会社とずっと折り合いが悪く、転勤も飛ばされるようなかたちでの転勤だったらしくて。仕事が嫌で会社に行くフリをして、朝から漫画喫茶で時間を潰していたこともあったみたいです」

大学中退後、牧田さんは当時京都にあった実家に戻ったものの、居心地は悪く、青森県で住み込みの農業ボランティアを1年間することにしたという。

3年間、定住しない生活を経験

アルバイトではなくあえてボランティアを選択するほど、働くことに恐怖心やプレッシャーを感じていたらしい。ボランティア先は、有機農家のホストとウーファーと呼ばれるボランティアをつなぐサイト「WWOOFジャパン」を使って探したという。

「当時はなるべくお金を使わない生活がしたくて、携帯もほぼ触らず、実際ほとんどお金を使わない生活をしていました。

一度どうしてもコーラが飲みたくなって、自動販売機まで1時間ぐらい歩いて買いに行ったこともあったけど、今、振り返ると頭もあまり働いていなかった。八甲田山を見ながら、ひたすら農作業をして……鬱の治療期間みたいな感じでしたね」

やがて冬になり青森での農作業の繁忙期が過ぎると、時給1000円ほどの短期のリゾートバイトで働くように。仕事と寝る場所が同時に必要だった牧田さんには、他に選択肢がなかったからだが、それ以降、約3年間にわたってホテル派遣バイトでお金を貯めつつ、国内外を転々とする生活を送った。

「最初は箱根のホテル派遣で、業務は皿洗いなどの厨房の雑用でしたが、異常に忙しくて農作業よりもずっとキツかったです。普通のホテルスタッフ経験者はすぐ辞めるし、毎月のようにスタッフが数人飛ぶような職場でした。

ただ、個人的にはそこで初めて現金収入を得て、『働くのって、思ってたより簡単なんだな』と少し自信がつきました。それ以前は、100万円と聞くと本当に考えられないような大金に感じていましたが、3カ月で60万円ぐらい貯められたので」

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