「個人の力で稼ぐ」ことにこだわる30歳男性の迷走 ホワイト企業に転職も「焦り募る日々」の理由

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「組織に属さず、個人の力で生きていく」ことに男性がこだわる理由は……(写真:kazuma seki/GettyImages)
20代半ばから30代前半にかけて訪れるとされる『クォーター・ライフ・クライシス』(以下QLC)。就職や結婚、出産等の重大イベントを迎え、自分の人生に対して「このままでいいのか?」と悩み、漠然とした不安や焦燥感に苛まれる時期のことを指す。
もともと2000年代以降にイギリスで登場、グリニッジ大学のオリバー・ロビンソン教授の研究などを通じて広まった言葉だが、現在では海を越えた日本の若者たちの共感も集めている。
そこで、本連載では性別職業を問わず、さまざまなアラサーたちに取材。それぞれのQLCを描きながら、現代の若者たちが味わう苦悩を浮き彫りにしていく。
今回紹介するのは2度の転職など目まぐるしい20代後半を過ごした末、「金融資産1億円」という目標を掲げ、アフィリエイトブログやライターなどの副業に精を出す男性のケースだ。

「AIに取って代わられる」仕事への不安

都内のIT企業に勤務する古川陽太さん(仮名・30歳)は20代後半の数年間、QLCに苦しんだ経験を持つ人物だ。

都内の有名私大を卒業後、2014年にコインパーキングの管理・運営を行う会社に入社。配属されたのは、自動販売機を管理する部署だったが、入社5年目の2018年に、初めての転職を決意することになったという。

「当時の職場は人間関係は良く、仕事も楽しくできていました。でも、仕事に慣れるなかで、業務内容に不安を感じるようになったんです。

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たとえば当時の業務のひとつに、自販機の飲料の在庫管理がありました。翌週以降の天気予報を見ながら、飲料の発注量を決めるという仕事なのですが、『むしろ機械のほうがうまくできるよな』『この仕事を続けて自分のキャリアはどうなるんだろう?』と感じて。AIに取って代わられるかもしれない仕事の、将来性に疑問を抱くようになったんです」

今風な理由で、自身のキャリアや、仕事の将来性に漠然とした不安を感じるようになった古川さん。背景には、当時読んでいた堀江貴文氏と落合陽一氏の共著『10年後の仕事図鑑』の影響もあったという。

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