アパレル入社2カ月で「退社決意」男性が得た物 業界の未来に絶望した彼が服に救われるまで

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アパレル業界の未来に絶望し、わずか2カ月で退社を決意した男性。しかし彼を救ったのは……(写真:Naoyuki Yamamoto/GettyImages)
20代半ばから30代に訪れるとされる『クォーター・ライフ・クライシス』(以下QLC)。一人前の大人へと移行するなかで仕事、結婚、家庭などと向き合い、自分の将来の生活や人生に対して「このままでいいのか?」「ちゃんとした大人にならないと……」「自分はもっとやれるはずだ」という、漠然とした不安や焦燥感に苛まれる時期のことを指す。
もともと2000年代以降にイギリスの研究者たちが用いるようになった言葉だが、日本の若者たちの関心も集めつつあり、SNSやブログで自身の心境を綴る人も。
そこで、本連載では性別職業問わず、さまざまなアラサーたちに取材。それぞれのQLCを描きながら、現代の若者たちが味わう苦悩を浮き彫りにしていく。
今回紹介するのは、転職や恋人との別れといった悩みの多い20代後半を乗り越え、自らの原点でもあるアパレル業界での副業に挑戦した結果、QLCから脱却した村上潤さん(仮名・31歳)のケースだ。(前回の記事はこちら

新卒入社から2カ月で転職を決意

「潤ってさ、クォーター・ライフ・クライシスなんじゃない? 仕事でやりたいこともいっぱいあるみたいだし、いろいろ迷っているよね?」

結婚に対して煮え切らない態度をとっていた村上さんは、かつて交際相手にそう指摘されたことがあるという。

村上さんの出身地は、昔から繊維業が盛んな北陸地方の某市。ファッション関係の仕事に就く親族が多かったことからアパレル業界を志望し、関東にある有名大学を卒業後はアパレルメーカーに就職した。そこから約3年半、10〜15店舗を担当するエリアマネジャーとして働いていたが、実は入社2カ月目にして、別の業界へ転職する決意を固めていたと語る。

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「大量生産した服を売り減らすための在庫処分セールが常態化していたり、暇なときも販売員さんを1日中立たせてきれいに畳んで陳列している洋服を畳み直したり……そういう無駄の多さがすごく嫌でした。業界の構造的な不健全さを目の当たりにして、『アパレルって斜陽産業だな』と実感したんです」

就職先を選ぶうえで、パーパス・ドリブン(社会における企業の存在意義)を重視したり、SDGsに配慮したビジネスモデルかどうかに関心を持つ若者は少なくない。長い仕事人生を控えているミレニアル世代以下の人にとって、企業やビジネスの社会的意義は単なる“意識”の問題ではなく、自身のキャリアや生活に直結する問題だからだ。

次ページ給料への劣等感が「この仕事でいいのか」に繋がる
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