悩めるアラサーが「世界中で激増」する明快な理由 QLC研究の第一人者が語る人生100年時代の困難

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クォーター・ライフ・クライシス(QLC)を訴える若者が世界で増えている理由とは?(写真:monzenmachi/GettyImages)
20代半ばから30代前半にかけて訪れるとされる「クォーター・ライフ・クライシス」(以下QLC)。就職や結婚、出産等の重大イベントを迎え、自分の人生に対して「このままでいいのか?」と悩み、漠然とした不安や焦燥感に苛まれる時期のことを指す。
もともと2000年代以降にイギリスで登場した言葉だが、現在では海を越えた日本の若者たちの共感も集めている。連載第1回では「個人の力で稼ぐことにこだわった結果、マルチまがいの団体に入るなどの迷走を繰り返した男性」を、第2回では「アパレル業界の将来に絶望し退社、成長しようと努力を重ねるもエリートに囲まれて、焦燥感を抱き続けた男性」の例を取りあげた。
連載第3回となる今回は、QLC研究の第一人者である、グリニッジ大学のオリバー・ロビンソン教授へのインタビューをお届けする。

有名な「QLCにおける5フェーズ」

QLCのことを検索すると、必ずといっていいほど論文が引用されているのがロビンソン氏だ。

グリニッジ大学のオリバー・ロビンソン教授(写真:本人提供)

とくに「QLCにおける5フェーズ」は有名で、目にしたことがある若者も少なくないだろう。

「QLCにおける5フェーズ(※)」

【フェーズ1】
仕事、恋愛、あるいはその両者において、自分がした選択のせいで閉じ込められてしまっているように感じる。いわゆる「自動操縦」の状態。

【フェーズ2】
「ここから抜け出さなければ」と感じ始め、「思い切って飛び出せばなんとかなるのでは?」という想いが募っていく。

【フェーズ3】
仕事を辞めたり、恋愛関係を終わらせたりして、自分を閉じ込めていたものと決別。あらゆるものから距離を置き、自分が誰であり、何をしたいのかを見つけるための「タイムアウト」状態に入る。

【フェーズ4】
ゆっくりと、だが着実に、人生を再建し始める。

【フェーズ5】
自分の関心や目標に合致したことに、熱意をもって取り組むようになる。

上記の5フェーズに心当たりのある人は少なくないだろう。心当たりのな

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い場合は、『(500)日のサマー』や『花束みたいな恋をした』の主人公たちを想像すればイメージしやすいかもしれない(とくに『花束~』の麦と絹は、QLCの二形態「ロックアウト(ちゃんとした大人になりきれていないと感じる)」「ロックイン(大人であることに囚われ、本当の自分を見失っていると感じる)」を象徴しているかのような人物造形だ)。

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