20代半ばから30代に訪れるとされる「クォーター・ライフ・クライシス」(以下QLC)。一人前の大人へと移行するなかで、仕事、結婚、家庭などなど、自分の将来の生活や人生に対して「このままでいいのか?」と悩み、漠然とした不安や焦燥感にさいなまれる時期のことを指す。
もともと2000年代前半にイギリスの研究者たちが用いるようになった言葉だが、日本の若者たちの関心も集めつつあり、SNSやブログで自身の心境をつづる人も。
そこで、本連載では性別職業問わず、さまざまなアラサーたちに取材。それぞれのQLCを描きながら、現代の若者たちが味わう苦悩を浮き彫りにしていく。今回は「理学療法士として勤務して3年になる病院を近々退職し、日本一周の旅に出る予定です。現在、QLC真っ只中です」と語る、窪塚明良さん(仮名・25歳)のケースを取り上げる。
適職診断がきっかけで目指した道、だったけど…
窪塚さんは高校生の頃から理学療法士を目指し、地元の大学を卒業後、他県の病院に就職した。
理学療法士という仕事を知ったのは、高1の頃に学校で受けた適職診断がきっかけ。いつしか理学療法士になることが当たり前のように自分の目標になっていたそうだ。
「理学療法士の仕事について調べるうち、医療職なら将来も安定しているということもあって、完全にその気になっていましたね。僕が高校を卒業する年に実家から通える近所の大学に理学療法士になれる学科が新設されるという話も偶然あり、そこでも勝手に運命的なものを感じていました」
しかし、進学したのが医療系の単科大学ではなく総合大学で、文系・理系を問わず他学部の学生と交流しやすい環境だったこともあり、理学療法士を一生の仕事として考えてきた自分の進路について、すぐに疑問が芽生え始めたという。
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