「とりあえず3年」働いた25歳彼が結局辞めた訳 安定した仕事に就いたはずが、想定外があった

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「実は理学療法士を育成する学校ってどんどん増えていて、業界的には人材の供給過多が指摘されてきているんです。だからこそ理学療法士として今後生き残っていくために、自己研鑽が大切なんですが、そこまでの熱意を僕は持てないのが正直なところです。

患者さんと1対1で向き合うコミュニケーションも含め、現場での仕事自体が嫌いなわけでは全然ないです。むしろ、適切な治療ができれば人間の機能障害を改善することができ、その変化を目の前で患者さんと共有ができる、とてもやりがいのある職業だと思います。ただ、自分がこの仕事を続けていく必然性みたいなものを考えると、『別に自分じゃなくてもいいのではないか』と思ってしまって。同業者から見れば逃げかもしれませんが……。

個人的には病院の仕事ってけっこう狭い世界だなとも感じていて、残りの仕事人生をここで終えたくないし、ここ数年はいつももっといろんな仕事してみたいなと考えてきました」

高校1年の頃から理学療法士として働くことを目標に、着実にそのコマを進めてきた経歴だが、その心のうちは本連載の登場人物らしい混乱ぶりだ。

すでに職場にも今年じゅうには退職することは伝えており、その際に、信頼を寄せる上司が「好きなことを追求していきたい」という姿勢に賛同してくれたことも背中を押した。退職後は旅館や農家の仕事を手伝いながら宿泊できるサイト「おてつたび」などを利用しつつ、まずは車で日本一周する予定とのことだ。

消化不良だった趣味を通じ、今後を真剣に考える

学生時代に友人と登山したり、湧水や名水スポットを巡ったりしていたことは先程聞いたが、それにしてもまた随分と思い切った構想に思えるのだが……。

「とくに一昨年くらいからは1人登山にどハマりしていて。本当に毎週のように登っているんですが、ついに47都道府県を登山しながら『名水百選』のような有名な湧水スポットを1~2年かけて巡る計画を立ててしまいました。

1人で登山をしていると、いろんな人と仲良くなるんですが、そこでの会話がとても刺激的で、そこでも自分がこれまで関わってきた人間関係や世界がいかに狭いのか思い知らされているところです。日本一周や47都道府県制覇って、やりたくても一生やらない人がほとんどですけど、せっかくなら僕はやってみたいなと」

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