なお、ロビンソン教授の論文「Emerging adulthood, early adulthood and quarter-life crisis: Updating Erikson for the 21st Century」では、QLCの形態にはロックアウト、ロックインという、2つの種類があることが綴られている。平たく言うとそれぞれ「ちゃんとした大人になりきれていないと感じる」「逆に、大人であることに囚われ、本当の自分を見失っていると感じる」というようなニュアンスだろうか。個人の力で生きていくことに憧れた古川さんは、後者のケースと言えそうだ。
結果が出始め、焦りが薄れていった
上記のように、極端にも思える行動が続いた古川さんだったが、副業を続けて数カ月が経過し、安定して月数万円の収益が出せるようになると、次第に焦りは薄れていったという。
そして、今は、新たにできた目標である「2025年までに金融資産1億円」に向けて、迷うことなく邁進しているそうだ。
「年利4%ルールといって、金融資産の4%を毎年取り崩しても、ほとんどの確率で資産がゼロにならない法則みたいなものがあるんです。僕の場合、生活費を考えると1億円あれば大丈夫。この目標が定まってからは、昔のような漠然とした不安や焦りは感じなくなりました。とはいえ、経済的自由を達成したいものの、働くのが嫌なわけではありません。ただ、自分の自由を大切にしつつ働きたいんです」
「転職」「副業」「断捨離」「FIRE」……とここ数年のトレンドに影響されながら、行動し続けてきた古川さん。結果、当初から抱いていた「時間的自由」をよりバージョンアップした「経済的自由」を目標にすることでモヤから脱したようだが、QLCという迷走期間のことを、彼はどう振り返っているのか?
「本当に行き当たりばったりで痛い目にも遭いましたが、結果的には最初の転職をして良かったと思えます。基本的には後からもっともらしい意味付けをしているだけで、運も良かったんですが、QLCを経たからこそ、全力で目標に向かって取り組める今がある。
もし最初の会社で漫然と働き続けていたら、今の環境はやはり実現できなかったと思います。昔はもっとネガティブな性格でしたが、今は物事をポジティブに捉えられるようになりましたし、そこはQLCでの成長・変化かもしれませんね」
金融資産1億円という目標は少し極端な気がしないでもないが、将来の指針を見失いがちな変化の時代において、「組織に頼らず、個人の力で稼ぐこと」を重視する古川さんの姿に、感情移入せざるを得ないアラサー会社員は少なくないだろう。
そして、彼がQLCという暗闇を抜けられたのも、行動を続けたからこそだと言える。
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