「電車でスマホを見る人」即実践できる6大読書術 「移動中✕スマホ」に最適な本の読み方は?

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【5】漫画も知的生産のために活用する

私のキンドルの本棚には、執筆のための資料となる本や話題の本に加えて、漫画も並んでいる。高尚な文学や哲学書に限らず、ミステリーでも漫画でも、それが「いい本」であれば、自分のための蓄積になってくれる

たとえば私は、「『名著、難しい本』をぐいぐい読みこなす簡単5秘訣」の中で、ドストエフスキーの『罪と罰』を読みこなすコツのひとつとして、漫画版を活用することを提案した。

漫画好きな人なら、漫画のほうがストーリーがすっと頭に入ってきやすいし、登場人物が見分けやすく頭を整理しやすいので、移動中に短時間でおこなうインプットにはもってこいである。

【6】「こま切れ読書」のツールに活用する

最後に私が伝えたいのは、本はもっと自由に読めばいいということだ。

本を読む目的もスタイルも、「こうでなければ」という呪縛から自分を解き放つことができれば、読書はぐんと楽しくなる

キンドルのような電子書籍は、どこまで本を読んだかをクラウドで管理し、パソコンやスマホ、タブレット、専用端末など、さまざまな機器で同期してくれる

それゆえ、仕事場でパソコンのキンドルアプリを起動させて画面で読み、打ち合わせに出かける電車のホームでスマホを取り出して続きを読み、電車に乗ってもそのまま読み続けるといったことが可能だ。

私自身は、新幹線や飛行機などで長時間移動するときはiPadなどのタブレットで読むが、それらをバッグから取り出すのは面倒なときもあり、とくに混んでいる電車の中ではスマホのほうが向いている

そういう「マルチデバイス読書」にも「電車の移動時間✕電子書籍」は最適である。

「スマホ読書」は、現代人のひとつのスタイル

もちろん私は、紙の本も読む。仕事場には「2000冊を上限」に紙の本を所有し、月に1回の割合で入れ替えている。

私の場合、紙の本は仕事場やカフェなど、じっくり落ち着いて読める場所で読むことが多い。だから、電車でも座って通勤できるなど、じっくり本を読める環境がある人は、紙の本を読むのも、もちろんいいだろう。

ただ、われわれ21世紀の人間は、総じて「まとまった読書時間」をつくるのが苦手になった。昔の人のように、机の前に正座して本に没頭するなどという美しい読書スタイルは、なかなかかなわない

しかしだからこそ、スキマ時間に、あらゆるときに、あらゆる場所で、あらゆる姿勢で1冊の本を読み進められるかどうかが「知的生産の肝」であり、それこそが「多くの現代人の読書スタイル」になっているともいえる。

せっかくのマルチデバイス時代、「スマホ読書」もひとつの読書スタイルとして取り入れることで、移動時間を「有意義な知的生産の時間」に変えると同時に、自分のなかに確実に「読む力」と「知力」が積み重なっていくことを実感していただきたい。

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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