「緊張が解けない人」は横隔膜の使い方を知らない 緊張をリセットできる「横隔膜呼吸」の方法

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横隔膜を十分に使った呼吸をすることで、関連する呼吸筋を動かし体幹を安定させ血流を良くして、不調を改善するのがこの横隔膜呼吸の目的です。

「横隔膜呼吸」を習慣づけると、口と肺で行う浅い呼吸、頻呼吸が減ってきます。そして疲れにくくなり、体も引き締まってくることが実感できるでしょう。これは、私自身と家族と患者さんの、多くの経験で証明できている呼吸法なのです。

安静時の理想的な呼吸は、横隔膜を十分に使った、自然な呼吸でペースがゆっくりとした、静かで規則正しい鼻呼吸です。「静かな呼吸」で目指すのは、初心者ならば隣の人が聞き取れないレベル、それができたら自分自身でも聞き取れないレベル。上級者になると、自分でも呼吸をしているかどうか、感じないという域に達するのです。

「横隔膜呼吸」がもたらすメリットいろいろ

「横隔膜呼吸」がもたらす大きな効果として、腹腔内の圧力を上げて、体の安定性を保つということがあります。腹式呼吸で息を吸い横隔膜が引き下げられると、胃や肝臓などの臓器を収容している腹腔に圧がかかり、同時に骨盤底筋群が内臓を押し返すことで、外側への圧力(腹圧)が生み出されます。腹圧は、排便や出産のときに重要な役割を果たしますが、呼吸によって適度な腹圧が維持されると、次のような効果があります。

□体幹の安定:姿勢が良くなる

□腸の適度な圧迫:便秘改善

□内臓の適度な圧迫:血流改善、代謝促進

ただし、息の吸いすぎで横隔膜がつねに下がっている状態では、圧がもれて体幹がブレやすくなってしまい意味がありません。ここにも呼吸過多を改善する意味がありそうです。

骨盤底筋は、女性の子宮・膣・膀胱・尿道・直腸といった臓器をハンモックのように支える筋肉です。

緊張状態や胸式呼吸で、横隔膜の下方移動が妨げられると腹圧は上がらず、骨盤底筋が動かなくなり、血流低下を招いて尿モレ、生理不順などを招くことがあります。

次ページ骨盤底筋と呼吸の「意外な」関係
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