サムシンググレートが美しい数の調和にした?--『自然現象はなぜ数式で 記述できるのか』を書いた志村史夫氏(静岡理工科大学教授、米ノースカロライナ州立大学教授)に聞く
アインシュタインのE=mc²をはじめ、「純粋な自然現象を100%人間が創造した数式で完璧に記述される」例は少なくない。なぜか。この不思議解明に挑む。
──「人類史上最も重要な方程式」があるそうですね。
極め付きが「マクスウェルの四つの電磁方程式」で、現代生活に欠かせない電気と磁気(磁石)の諸現象をまとめあげた。それを本格的に理解するためには、電磁気学の知識とスカラー、ベクトル、積分、微分、偏微分方程式などの数学の知識が必要なので、ここで詳細な説明は省く。一見、電気と磁気の相互作用という複雑怪奇な自然現象が、最終的に簡潔な四つの方程式で表せる。
──アインシュタインの相対性理論にかかわる数式はどうですか。
「人類史上最も有名な方程式」といえる。相対性理論というと、歯が立たないと思う人が多いが、光の特殊性さえ、認めてしまえばさほど難しくない。光の特殊性とは、宇宙に光速を超えるものはなく、光速はつねに一定であり、光の伝播に媒質は必要ないというものだ。
──数式化の身近な現象での例は?
人間の存在と関係なく、自然界には重力、電気力、磁気力という三つの力がある。その大きさは、三つとも同じ形式の数式で表せる。人間が作ったはずの数式がなぜ同じように有効なのか。不思議ではないか。
地球ばかりでなく、宇宙にはいろいろな力が働いている。昔から電気を帯びた石はあった。そもそも電気はギリシャの琥珀の職人が磨いているときに見つけたといわれる。雷としてなじみも深い。また磁石そのものは自然界にある。電気力と磁気力は親戚だとわかってくるが、重力、つまり万有引力を加え、この三つの違う力が存在するというのは早くから認識されていた。