日本人も、"コミュニケーション力"を磨こう 対話術は、グローバルリーダーの必須スキル

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多くの人の前で堂々と話し、説得し、鼓舞し、楽しませることを目的とするパブリックスピーキングを行うスキルもある。ディベートは、プレゼンやスピーチなどのパブリックスピーキング力を養う絶好の機会だ。話す内容(バーバル)だけではなく、聴衆の心証を大きく左右するノンバーバルの要素、つまり、身振りや手ぶり、表情、声なども鍛えられる。

そのほかにもチームワーク傾聴力紛争解決力瞬発力などグローバルや日常のビジネスシーンで役立つ数多くのスキルを効率的に磨くことができるのだ。

ディベートは決して対峙する相手を打ち負かしたり、ねじ伏せるのが目的ではない。ディベートを通して、聴衆などの「第三者」を説得し、その考え方に影響を与えたりするのが本来の目的である。日本人にはディベートなど敷居が高い、という人も多いだろう。しかし、例えば日常的なプレゼンや会議の場で、ディベートで用いられるスキルは即効力のある武器となる。

"ディベートの鉄人"であるラドリー・グラッセー先生に伺った、ディベートにおけるコミュ力アップ3つの黄金則は次のようなものだ。

① 多くの武器をそろえるべし

ディベートでは守勢、攻勢など状況に応じて、様々な説得材料が必要となる。武器となるエビデンスをできるだけたくさん集めよう。数字、統計、論文等々、徹底的なリサーチ・情報収集が重要だ。

② 戦略的同意も一つの心得

一方的に攻撃したり、否定するだけでは、相手方は守りに入ってしまうし、聴衆や第三者からの印象も悪くなる。自分の主張がぶれない範囲で、相手の主張に賛同したり、認めることが戦略上必要となる。

③ 問うてみよ

「相手が間違っている」とあげつらったり、自らの主張をとうとうと述べるだけではなく、核心を突く質問によって、矛盾点を自然に浮かび上がらせたり、ゆさぶりをかける手法も時として有効だ。

次回は、ディベートから学ぶ「論理的な説明法」について考えていく。

※ 本連載は隔週火曜日に掲載します。

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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