「社員にやさしく」がダイバーシティではない 企業パフォーマンスを上げるためのダイバーシティ・マネジメント②
ビジネス環境が激変する昨今、海外企業だけでなく日本企業にとってもダイバーシティの推進は不可欠となってきている。海外企業がダイバーシティの取り組みに積極的なのは、ビジネスでの競争優位をもたらしてくれるからである。ダイバーシティが生まれたアメリカでは特に1990年代から「違い」を戦略的に活かすことで企業の競争力強化につながった事例が数多く出てきた。具体的な企業へのメリットとしては以下の3つが挙げられる。
まず、1つ目が「優秀な人材の確保と活用」である。
リーマンショック後の不安定な経済状況の中、失業率は高止まり、新卒採用者の状況も厳しい。しかし、21世紀の高度情報化社会では、どんなに失業率が高くても、企業のパフォーマンス向上に大きく貢献してくれる高度な知識やスキルを持つ優秀な人材は今まで以上に不足しており、つねにリストラと採用が同時進行している。
世界的にも有能な人材の争奪戦が起こっている。ダイバーシティを推進する企業には多様な視点やスキルを持った多様な背景の人材が集まってくる。できる人材にとって多様性を尊重し、誰もが能力を発揮しやすい環境を整えている企業は魅力的と映るだろう。
2つ目が、「市場の有利性向上」である。
海外でダイバーシティが重要とされるのは雇用面だけでなく、多様化する消費者の嗜好や価値観をビジネスに結びつけ展開したからである。近年の日本は不況に加え、物余りの時代だ。多くの産業が飽和状態となっている。このような状況下、顧客の新しいニーズを掘り起こさなければ企業は生き残れないため、今までとは違う新しい発想や創造力が何よりも必要となる。そして、多様化・複雑化する消費者のニーズに的確に応えるには,会社自身が多様になることが求められる。
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