「社員にやさしく」がダイバーシティではない 企業パフォーマンスを上げるためのダイバーシティ・マネジメント②
多様な従業員がいれば、マーケティングや商品開発などで、多様な顧客ニーズや要求に対して、効果的対応も可能になると考えられる。
そして、最後の3つ目が「創造性・革新性の向上」である。
新興国にコスト競争力で圧倒的に劣る賃金の高い先進国で、最も必要とされるのはイノベーション。新しい価値の創造は企業間競争の激化するグローバル化時代を乗り切るために不可欠だ。
革新性と創造性は、異質な視点、アイデア、意見などが刺激し合い、相乗効果によって生まれることが多く、同質性の高い社員ばかりのチームでは新しい発想は期待できない。たとえばシリコンバレーで見られるように、革新的な製品やサービスは、より多様な人材のチームから作り出されるケースが多い。
同質グループでは多くの選択肢を考慮しない思考形態である「集団思考」に陥りやすい。多様性の高いチームであれば、そういった状態を防ぐことができる。これも長所の1つとして考えられる。
しかし、「ダイバーシティに取り組んでいるのに、このようなメリットは受けていない」と感じる企業も少なくないだろう。単に多様な人材を採用し、両立支援などのさまざまな福利厚生を充実させて離職率を下げたとしても、企業メリットにつながらないばかりでなく、場合によっては「コスト高」になっているケースが多々あるのは事実だ。
理由の1つが、社員の多様性を尊重し効果的に管理(マネージ)するためには、「社員にやさしく」ではなく、社員の違いや特質を尊重すると同時に「社員に相応の成果を求める」ことを行わなければいけないからだ。
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