ダイバーシティ成功のカギは目的の明確化と環境作り

企業パフォーマンスを上げるためのダイバーシティ・マネジメント③

企業パフォーマンスを上げるためのダイバーシティ・マネジメント--ダイバーシティ成功のカギは目的の明確化と環境作り

前回指摘したように、単に多様な人材を採用しても、簡単に企業メリットは得られない。そして、同質性の高い組織にもメリットがあることを忘れてはいけない。ダイバーシティのデメリットの1つは、さまざまな多様性が軋轢や混乱を生むことだ。異質な人材は職場での摩擦を引き起こしやすい。そのため、全社員のダイバーシティへの正しい理解と適切な行動を促進する教育や啓蒙活動が不可欠となる。

 

認識すべきは、多くの企業では多様な人材を「採用」しても、上手に「活用」できていないということだ。実際、ダイバーシティの取り組みが始まった米国も、ダイバーシティ・マネジメントの成功を失敗から学んだのだった。

初期の頃、米国企業は白人男性以外の人材を積極的に雇ったが、離職率が高かったり、期待した成果を出せないことが多かった。そのような状況を分析してわかったことは、社員の多様性を企業のパフォーマンス向上につなげるためには、従来の人事制度や企業風土では対応できないことだ。

つまり、今までの画一的な人事制度に多様な社員を組み込むのではなく、さまざまな社員の背景、価値観などの異質性を受け入れ、活かすことができる異なる採用、評価、処遇などのシステムや環境が必要となるのである。企業がダイバーシティでメリットを得るためには、いかに競争優位につながるように多様性を活かしていくかを真剣に考え実行していくことが求められ、それには努力が伴うのだ。

たとえば、日本企業では一般的な「新卒一括採用」もダイバーシティ・マネジメントに反する制度である。新卒制度を行うにしても、それと同時に、通年採用や中途採用の体制も整備しなくてはいけない。もし、社内に必要な人材がいなければ、社外から適切な人材を適切なポジションに就かせる仕組みや公募制度なども重要となる。このようにダイバーシティのメリット面を出すためには、多様性を活かすための制度が必要なのである。

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