富士フイルムが攻めの経営で体質一新、ドル箱失墜からの復活[下]《新「本業」で稼ぐ》

富士フイルムが攻めの経営で体質一新、ドル箱失墜からの復活[下]《新「本業」で稼ぐ》

フジタックはもともと、1954年に不燃性の映画用フィルムとして開発された高機能材料だ。その後、写真フィルムのベースとして足柄工場(神奈川)で量産することとなる。

厚みを均一にする「製膜」、高い透明性を実現する「有機合成」など、写真フィルム時代に培ってきた技術が凝縮されている。TAC(植物を主成分とした繊維素)に溶剤を混ぜ込む「溶解」、不純物を濾過し薄く均一に引き延ばす「流延」、140度の高温で溶剤を活性炭に吸わせる「乾燥」に至るまで、製造装置をすべて自社で開発しているため、他社は容易に追随できない。

この技術を生かし、何とか新たな事業を創成できないか──。

93年、フジタックの用途拡大を目的に、4人のメンバーから成るプロジェクトが発足した。浜直樹・フラットパネルディスプレイ材料事業部担当部長(現職)は、フジタックの使途を模索。「CD保護シートとしてレンタルショップへ売り込みに行ったこともあるが、うまくいかず皆で回収しに行った」(浜氏)。失敗エピソードが後を絶たないほどだった。

「モノになるかもしれない」(浜氏)と確信したのは、95年に視野角拡大(WV)フィルムの開発に成功したときだ。潜在力の大きい液晶市場で戦えるメドがついた。

当時、液晶は亜流だった。厚みが均一なフジタックを使えば、液晶画面のモアレ(表面にできる虹模様)はほぼ解決できる。だが、視野角が狭い、つまり画面を横から見ると濁って見えてしまうという大きな課題が残っていた。この局面で生きたのが、フィルムの上に感光材の層を作る、写真フィルムの技術だ。

写真フィルムには「光を感じる」「色を作る」「色あせを防ぐ」等の役割を持った粒子の層が、決められた順番どおりに約20層重なっている。100種類以上の薬剤を合成し、コラーゲンで包み込み、約20層を決められた順番どおりにひとはけで均一塗布する技術が必要だ。

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