富士フイルムが攻めの経営で体質一新、ドル箱失墜からの復活[下]《新「本業」で稼ぐ》

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 富士フイルムはパネルメーカーと共同で試作を重ねた。ベースとなるフジタックに液晶化合物の層をコーティングして横から見ても美しい画面を実現。このWVフィルムの出現で画面は格段に鮮明になり、液晶市場は一気に広がった。

熊本工場の三つの建屋の隣では、来11年秋に稼働を予定する超広幅(約2メートル)用ラインの増設が進む。世界中でTACフィルムを製造できるのは富士フイルムとコニカミノルタホールディングスの2社だけ。うち富士フイルムのシェアは7割強。「供給責任」(坂本敏・富士フイルム九州社長)の言葉に自信がにじみ出る。

「技術を生かせる次の柱」(古森社長)が医薬品事業だ。稼ぎ頭に、ともくろむのは、特許の切れたジェネリック薬ではなく、新薬だ。

1300億円投じた本気 “メディカル1兆円”構想

「未解決の領域である、がんやアルツハイマーの薬を世に送り出したい」。戸田雄三・常務執行役員医薬品事業部長の意気込みを裏付けるのは、ナノレベルで粒子を包み込み、安定的にある場所まで届けるという、独自のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)技術だ。「副作用や服用量を減らし、“良薬口に甘し”といわれる薬を作りたい」(戸田常務)。

薬の業界は特殊だ。粗利率の高い新薬は、時に大企業の利益の半分を稼ぎ出す。一方で“特許切れ”という終焉もはっきりと見えている。特許が切れた途端にジェネリック薬が出回り、大量のMR(医薬情報提供者)と開発人員が重荷になりかねない。ハイリスクを承知のうえでの、富士フイルムの挑戦である。

08年、新薬開発企業の富山化学工業を、1300億円で傘下に入れた。買収時点での富山化学の業績は売上高270億円、営業益9億5000万円。収支均衡ラインを上下していただけに、「高すぎる買い物」(機関投資家)との批判も受けた。

だがこの買収、新薬開発に取り組むうえで必須だった。「富士山の1合目から登るより5合目から登るほうがいい」(古森社長)からだ。

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