新卒入社の数年間をどう過ごすべきですか 将来行きたい会社の前に大企業に就職した

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そして、ここも重要ですが、VCという立場でベンチャー企業へのアドバイスをするのであれば、ベンチャー的な事業での経験というだけではなく、ベンチャー企業にかかわることを包括的に理解している、ということも重要です。

その会社でしか通用しないやり方は不要

実は、ベンチャー企業上がりの方や大企業出身の優秀な方でVCやコンサルなどのアドバイザーへ、といったキャリアを描く方も多いのですが、採用されない大きな理由のひとつは「特定企業における固有のやり方しか知らない」といったものがあります。

たとえば企業価値の評価手法において、前職(Mさんのケースでは現在、お勤めの大企業)での特定の手法しか知らないのであれば、アドバイザーたる側に立つうえでは非常に心もとないでしょう。なぜなら各種ある手法の中でそれぞれの特徴をきちんと理解しており、なおかつ「だから本件ではこの手法が望ましい」といった客観的な視点がどうしても求められるからです。

そう考えますと、職務を通じて経験を積むだけでなく、学問的な勉強をも含めて包括的に理解する、そのうえでつねに「なぜ」を問える、または答えられるようなベースをご自身で作っておく、ということが重要になります。

とりわけ仕事のやり方が硬直的になりがちな大企業においては、自社内部の常識と世間の常識がずれていることも考えられますので、なおさら客観的視点を忘れないように注意しましょう。間違ってもその会社でしか通用しないような方法や理論を信じ込んでしまってはいけません。

つまり、自社における投資判断基準や価値評価手法について、「なぜうちはこのやり方なのか?」を問いつつ、包括的に理解する、というスタンスが求められるのです。

そして同時に、ご自身の業務の範囲外となってしまうかと思いますが、ぜひその時々におけるベンチャー企業の状況(どんな企業がどんなセクターから出てきているのか? そのビジネスモデルは? その背景は? といったあたり)をつねにモニタリングして、「自分だったらこうする」という頭の体操をしておきましょう。

たとえばVCへ面接に行き、「今、面白いと思うベンチャーをいくつか挙げて」と質問された際に「何でしょうね~」では非常に心もとないので、こういった準備はぜひしてください。ご自身の視野を広げる勉強にもなるはずです。

要は事業と財務の双方の視点を「実践と学びの両面」から着実に身に付けていくことが重要なのです。

オープンな思考、コミュケーション力も

投資やアドバイスをする、という立場で考えると、経験や知識の引き出しは多いほうが有利になる場合が多々あるかと思います。また、柔軟な思考というものがどうしても求められる商売ですので、ぜひ頭でっかちにはならずに、オープンな思考を身に付けていただければと思います。VCといっても結局は人間力勝負の場面も大いにありますので、人への接し方やコミュニケーションの取り方も意識して行いましょう。

キャピタリストに求められるのは総合力ですから、Mさんとして準備すべき事項は非常に多いと思います。しかし、周り以上に自分が成長できる、またはコミットできるような人でないと、そういった仕事は務まりません。将来の選択肢がどうなろうと、積んだ経験は決して無駄にはならないと思います。ひいては日本のベンチャーのためにもなると思いますので頑張ってください。応援しております。

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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