【産業天気図・電子部品】スマートフォン特需で足元活況も、海外勢と競争激化で後半「曇り」に悪化へ
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
電子部品業界は2010年10月から11年3月まで「晴れ」の活況だが、続く半年は「曇り」に失速しそうだ。海外メーカーとの競争激化や、一部のデジタル機器での需要調整局面が懸念される。
10年度はスマートフォンの普及などを背景に、部品受注の回復が鮮明だ。業界大手の京セラは10年(暦年)の世界市場で携帯電話が10%、パソコンが15%、薄型テレビが20%、それぞれ前年比で拡大すると見ている。また、これらのデジタル機器に搭載される部品の点数も拡大傾向。高機能携帯電話には一般的に、セラミックコンデンサーが300個以上、表面波フィルタも10個以上搭載されているため、部品業界への波及力は高い。
旺盛な部品需要を受け、業界大手は生産能力を増強している。村田製作所は10年度の設備投資を当初計画から70億円上積みして520億円とした。福井県や島根県にある工場の生産ラインを拡充する。中国でも無錫に建設中の新工場(来4月稼働計画)の生産ラインを当初計画よりも増やす。京セラも電子部品の工場がフルキャパ状態。当初計画に沿って、来3月までに鹿児島工場の半導体部品の生産能力を拡充する。日本電産も中国・広東省に光ディスク用小型モーターなどの工場を建設し、今11月から稼働させた。
足元の受注が好調とはいえ、来期にかけては不安要因もある。韓国や台湾など海外の部品メーカーが急台頭してきているため、日本メーカーのシェアは年々低下傾向にあるのだ。電子情報技術産業協会の調査によると、電子部品の日本企業シェアは05年の50%から08年の41%に低下している。また、スマートフォンは拡大が続く公算だが、液晶テレビなど一部のデジタル機器は調整局面入りの懸念がある。
高価格・高機能機器の分野では、日本の小型化や高性能化技術が優位。そのため今後は、高技術力を武器に成長を続けるメーカーと、海外勢との競争に飲まれる汎用部品を扱うメーカーで優劣の差が明確になるだろう。
(梅咲 恵司=東洋経済オンライン)
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